石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『やまンこ!(1)』(井冬良[画]/雑破業[原作]、アスキー・メディアワークス)感想

やまンコ! 1 (電撃コミックス)

やまンコ! 1 (電撃コミックス)

「山猫憑き」の少女をめぐる、ゆるゆる・百合百合な物語

山猫(やまンこ)憑きの少女「音々子」が主人公の学園コメディ。音々子は興奮すると耳としっぽが出てしまい、長身おっとり少女「真琴」にすりすりしてもらうと元に戻るという設定です。真琴から音々子へのドキドキ感が非常に百合百合しく、楽しく読みました。雑破業さんというと『ゆんゆん☆パラダイス』のショタエロのイメージが強かったんですが、百合もいけたんですね。ちなみにストーリーはかなりゆるめですが、どんくさくも繊細な真琴が可愛すぎて、このキャラを見ているだけで多幸感にひたれます。難点は、絵そのものは悪くないのに、コマとコマのつながりがぎくしゃくしているところ。そこさえ改善されればもっと面白くなる作品では。

とにかく真琴が可愛いです。

ボーイッシュな長身少女なのに運動音痴で内気、趣味はポエム作り、好きな食べ物はキャベツ。こんな真琴を見て「何かに似ている」と思ったのですが、第5話で幸せそうにキャベツを食す彼女の姿を見て、それが何だかわかりました。ウサギです。大きくてどんくさくていたいけな白ウサギそのものです、この人。このいじらしくもおっとりとしたキャラの一挙一動(特に表情!)がひたすら可愛らしく、キュンキュン来ました。私見ですが、ここがこの作品のいちばんの見どころではないかと。

百合ものとしての『やまンこ!』

これはもう真琴から音々子への気持ちにとどめをさします。単に体の密着でドキドキするだけでなく、音々子の内面にも強く引きつけられているところがポイント。2度出てくる泣き笑いの場面(第2話・5話)とか、いいですよほんとに。ドキドキ感の中にセクシュアルなニュアンスがかすかに漂うところも、高く評価したいと思います。

ちなみに音々子の側は、さっぱりした性格もあってか、真琴ほどどっぷり百合な雰囲気はない感じ。とは言え、帯にもある

ずっと一緒にいてあげる

というシークエンス(p. 186)はとてもよかったし、第3話の電話シーンの表情なんてのも輝いてました。これからこのふたりが恋愛寄りに進むのか、それとも友情路線で行くのか、気になるところです。

ページの構成が今ひとつ

井冬良さんのシャープな絵柄はじゅうぶん可愛いしカッコイイんですが、ページ全体の構成があまり漫画っぽくないところが難点かと。コマからコマへの流れがスムーズでなく、読者に次のページをめくらせるためのヒキも弱い気がします。一コマ一コマをイラストとして見るなら文句はないのに、ネームとして全体を見ると首をかしげてしまう感じです。2巻以降で改善されてくれると嬉しいです。

まとめ

ゆるめの百合ラブコメとしてじゅうぶん楽しめる内容でした。特にどんくさいボーイッシュ少女・真琴のいたいけさにモエモエです。難点はネームのぎくしゃく感ですが、これは巻が進めば改善されるかも? 2巻もとても楽しみです。