石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

百合アンソロジー「ComicリリィPLUS Vol.1」(ライスリバー)感想

ComicリリィPLUS v.1 (RICE RIVER COMICS)

ComicリリィPLUS v.1 (RICE RIVER COMICS)

器は変われど特徴薄し

ライスリバーの百合アンソロ「comicリリィ」がリニューアルして「ComicリリィPLUS」になりました。無印時代と比べ、「ハンコ絵のバストアップ主体」という傾向はいくらか改善されたように思います。これまでのようなあまあま思春期百合だけでなく、ちょっとダークな作品を入れてきたところも、ひとつの変化でしょう。レズビアンのキャラが堂々と登場している(『えすとえむとえとせとらっ!』)ところもよかったです。

ただ、ライバル誌に比べ、「これだ!」という売りが見あたらないんですよね。

ジャンル先駆者の「百合姫」は隔月刊化が決まり、先日VOL.6が出た「つぼみ」は実力派の作家さん揃い。新規参入の「ひらり、」もよく健闘しているし、百合オンリー誌ではないものの「楽園le paradis」も独自の路線で頑張っていると思います。

で、「ComicリリィPLUS」にそれらに対抗し得る何かがあるかと言ったら、残念ながらあたしには思いつきませんでした。PLUS以前の「Comicリリィ」の最大の特徴は「商業誌っぽくない品質(悪い意味で)の思春期ピュアピュア百合」だったと思います。リニューアルしたということは、それがウケなかったということでしょう。PLUSは多少の方向転換こそ見られますが、セールスポイントになるほどの大きな特徴はいまだ作り出せていないと感じました。前述の「えすとえむとえとせとらっ!」(楽時たらひ)など、個別では好きな作品もないではないのですが、アンソロとしての魅力がなさすぎる。Vol.2からは買わないつもりです。