石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『オレンジイエロー』(乙ひより、一迅社)感想

オレンジイエロー―短編集 (IDコミックス 百合姫コミックス)

オレンジイエロー―短編集 (IDコミックス 百合姫コミックス)

ほのぼのもあり、エッジのきいた小編もありの百合短編集

全3話の表題作「オレンジイエロー」の他、5編(うち1編は描き下ろし)の短編が収録された百合短編集。ほのぼの系な表題作も悪くはないのですが、むしろ「恋の証明」「ナミダグスリ」などのエッジのきいた小編の方が印象に残る1冊でした。

「恋の証明」について

女子校の女教師と、同じく教師になった元教え子のお話。

これだから女子校は……

バカみたい 女(わたし)を好きなんて…あのこ 今女子校(ここ)だから言えるんですよ

などの台詞の使い方が味わい深かったです。一見同性同士の関係を軽視しているようにも見えかねないこれらの台詞ですが、実はどちらもいろいろ見知った上での、いわば一回りした発言だと思うんですよ。先生のモノローグや、教え子の行動などを見ていれば、そのことは明白。キスされたときの先生の淡々とした反応や、わざと同じ構図で描かれる教え子の笑顔(女子高生バージョンと現在バージョン)もステキでした。

「ナミダグスリ」について

隣席の「里見さん」に誤解をうけてツンツンされる女子中学生「かなこ」のお話。これはもう最後のコマにとどめをさしますね。いや、その少し前の里見さんの涙の場面なども鮮烈なのですが、最終ページ最終コマのかなこのあの表情にはかないません。何この小悪魔。つか天性の女ったらし。いやでもこの思考回路はわかる、わかるぞ。小悪魔でありつつどこか幼さも残るという、アンビヴァレントな雰囲気もよかったです。

その他

  • 「カタコイヒメ」の水野さんもよかった。「水の中にいる」時の表情の鮮やかさといい、好きな人がバレてしまう場面の美しさといい。
  • 表題作「オレンジイエロー」はわりとスタンダードな幼なじみ♀♀ストーリー。キスありですが、雰囲気はあくまでほのぼの。個人的にはどこかにもう少しフックをきかせてほしかったところです。ただし、女同士であることへの抵抗感と、それに対するツッコミの描き方が丁寧なところはとてもよかったです。

まとめ

ほのぼの百合からほんのりスパイスがきいたお話まで取り合わせた、読みやすい短編集だと思います。個人的にはスパイスのきいた話の方がツボでした。こういう短めのページ数でピリッとくる百合話って好きなんです。