石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『間違ったラノベの作り方』(松林悟、角川書店)感想

間違ったラノベの作り方 (角川コミックス・エース 284-1)

間違ったラノベの作り方 (角川コミックス・エース 284-1)

女2人(3人?)で間違ったラノベ道を突き進むギャグ漫画(ライト百合あり)

ライトノベル作家志望の女子高生「日向霧乃」が、キャラのモデルと決めた「安藤涼葉」、小説の師匠「バラ野マリア」ら共にすったもんだするというギャグ漫画です。百合部分はセクハラギャグが主体で、エロはあっても愛は薄口。ただし、ホモフォビアはほとんどなし。笑いの面では、ラノベのお約束を茶化してみせる部分が面白く、さらにバラ野マリアのキャラが強烈で、楽しく読みました。納得できないのは、表紙と中身の絵が完璧に違う(そもそも別の描き手さんです)ところ。これもまたラノベ業界をネタとするギャグの一環なのかもしれませんが、漫画の単行本でこの売り方はないのでは?

ギャグ部分について

序盤はほぼラノベのお約束展開をネタとするギャグが主体となっています。それはそれで面白いんですが、この作品が真価を発揮するのは、霧乃の師匠にして元ラノベ作家のバラ野マリアが登場してから。このキャラの、

  1. どう見てもガチムチのおっさん
  2. なのになぜか美少女の顔を描いたカブリモノ(ヘルメット?)を常時装着
  3. いつでもどこでもビキニ着用

という強引さが、まず楽しいです。マリアVS霧乃の対決に涼葉がツッコミを入れるという黄金パターンもナイス。ただしマリアのヘンタイっぷりが合わない人にはとことん合わない漫画かもしれないので、そこだけ注意。

百合部分について

霧乃から涼葉へのセクハラギャグが多用されているわりには、あんまり百合百合しくないです。結局、この作品における女のコ同士の微エロなあれこれは、あくまで「オタ好みのシチュエーションをギャグとして再現する」という目的で配置されているんだと思います。そんなわけで本気の欲情や恋愛感情はほとんど感じられず、いわゆる百合漫画とはちょっと毛色が違う印象を受けました。最終回にだけ、霧乃と涼葉の絆をうっすら示唆する台詞がないでもないのですが、百合目的で読むのはあまりおすすめしません。ホモフォビアはほとんどなくて、そこはとてもありがたかったんですけどね。

表紙について

買ってから気づいたのですが、この作品、表紙と中身は別の人が描いてるんですね。ラノベではよくあることで、たぶんそれを狙ったギャグ(のつもり)なのだと思いますが、漫画の単行本でそれをやるのってどうなの? ちなみにいちおう表紙に小さく「カバーイラスト 要河オルカ」という表記は入っていますが、ネット書店では文字が潰れてしまっていて、ほとんど読めません。ネットで表紙買いしてショックを受ける人もいると思うんだけど、いいんでしょうかね、これ。

まとめ

「ヘンタイ(バラ野マリア)キャラが活躍するちょいエロドタバタコメディ」として単純に面白かったです。ただし女のコ同士のあれこれはセクハラ主体で、ガチ恋愛とはちょっと毛色が違うため、百合目当てで読むのはおすすめしません。また、表紙と中身で絵柄が全然違うので、表紙買いもおすすめしません。あくまで「ラノベネタのヘンタイギャグ漫画」という中身に注目して買うべき作品だと思います。