石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ゆるゆり(3)』(なもり、一迅社)感想

ゆるゆり 3 (IDコミックス) (IDコミックス 百合姫コミックス)

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ゆるゆるで時折百合な脱力系コメディ

「掲載誌『コミック百合姫S』のコンセプトを全否定するあの問題作」「無法者4人と生徒会4人衆が仲良くケンカしな、という感じ」という帯の形容通りの作品です。「CUTE&LOVELY」を標榜する百合姫Sで、敢えてすっとぼけたギャグ漫画でありつづけるところがとても好き。アンケートハガキでまで徹底して笑いを取りに行く(見ればわかる)という姿勢には、ただただ脱帽です。でも、だからと言ってこの作品に百合なあれこれが無いとか、あっても物足りないとかいうわけでは全然ないんですよ。むしろ、忘れたころに予想外の場面でふっと香る百合っぽさににやりとさせられました。

今回特によかったのは向日葵・櫻子ペアと結衣・京子ペア。前者はくじびきによる「カップルごっこ」での食事シーンが白眉です。後者は、さりげなく張られた伏線を、31話で結衣がいきなり回収してみせるところに拍手。『ゆるゆり』に似合わぬ熱さと、その直後にやっぱり「○○○(伏せます)のようなもの」が登場するというギャグ路線とのとりあわせが楽しかったです。

ラブストーリーかラブコメ、あるいはせいぜい姉妹ものが主流な百合業界の中で、この『ゆるゆり』はやや特異な位置にあると思います。決して百合ん百合んなガチ恋愛ものではないし、ラブコメと呼ぶほど直球なラブ要素もない。姉妹もいないし「おねえさまー」な展開もゼロ。でもやっぱり百合なんです。どうしてもどうしてもカテゴライズしなければならないのなら、友情百合なりバディ百合なりに分類される作品なのでしょうが、この漫画はそこからもさらにボール半分ぐらいずらして読者を煙に巻くようなところがあります。そこが非常に面白いんですね。今後もこのままのスタイルで笑わせてほしいと思います。

まとめ

今回も「独自のスタイルで飄々と笑わせ、時々かすかに百合の香りを漂わせる」というナイスな1冊でした。「何かゆるギャグ系の漫画を読んで笑いたい」「時々百合テイストが味わえればなお可」という方にすごくおすすめです。