石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『Candy Boy(1)』(峠比呂[画]/DRN/2008CP[原作]、メディアファクトリー)感想

Candy boy 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

Candy boy 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

可愛いんだけど、微妙にツメが甘いかも

ほんわかした姉「雪乃」と、そんな雪乃が大好きな妹「奏(かなで)」の双子姉妹百合話。人気アニメのコミカライゼーションですが、アニメとは違う世界観なのだそうです。可愛らしいお話ではありますが、雪乃と奏の関係は、あたしにはちょっとぬるいかなあ。全体的にキャラクター造形のツメが甘いところも気になります。ただし、フラッパーモバイル版での「一茶子(いさこ)」から「咲夜」への片想いは非常によかったです。モバイル版の方が恋愛寄りな内容なので、百合目当てで読むのなら本編よりこちらの方がおすすめ。

可愛いことは可愛いんですが

主人公・奏のユキちゃん大好きっぷりはたいへん微笑ましく、好もしいです。天然なのにここ一番ではしっかりしている雪乃も魅力的。絵柄もキュートで、漫画として大変読みやすいと思います。

けれども、姉妹の関係が最初から最後まであまあま仲良しモードでしかないところが、あたしにはやや単調に感じられました。あと、本編は基本的に「姉妹愛」であって「恋愛」ではないお話なのに、時々無理にキャラの接触度を上げようとして失敗しているような気が。ピアスをつけてあげる前に耳たぶを舐めて「消毒」だなんて、ピアスホールを開けたことがあってまともな衛生観念のある女なら、絶っっ対にしない行動ですよ。百合ジャンルによくある「女の着ぐるみをかぶった男が『女のコとはこういうもの』と思ってなんか見当違いのことに励むの図」に見えてしまい、ちょっと萎えでした。

キャラ造形も今ひとつ

「先輩を慕うツインテールの後輩」とか、「お嬢様言葉のタカビー女」とか、設定に既視感ありすぎでおなかいっぱい。読み進めていくうちにそのキャラならではの特徴も出てくるのですが、そこにたどりつくまでがしんどかったです。外見や口調に、もう少しオリジナリティを入れてくれたらよかったのに。

でも一茶子のエピソードはよかったです

一茶子はフラッパーモバイルで連載されたスピンオフ作品「Candyboy 〜Young girls fall in love!」のキャラクタ。登場時は単なるテンプレタカビーキャラなのに、その後咲夜との関係の中で徐々に違う側面が出てくるところがよかったです。episode:02での胸の痛みとか、episode:04のクライマックスの場面とか、実に鮮烈でした。

まとめ

可愛らしくて読みやすい作品ではあるのですが、本編はストーリーの起伏が少なめなことと、接触度を上げようとしてなんか変な演出が入るところが下げ。百合目当てで読むのなら、本編「Candyboy」よりも、モバイル版の「Candyboy 〜Young girls fall in love!」の方がおすすめです。一茶子の甘酸っぱい恋模様がいいし、咲夜も本編とはまた違う表情を見せていて、楽しく読めました。