石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

百合アンソロジー『百合少女 Vol.2』(コスミック出版)感想

百合少女 Vol.2 (キュンコミックス)

百合少女 Vol.2 (キュンコミックス)

  • 作者: 四位広猫ほか,早瀬あきら,田中琳,君川瑠衣,みとうかな,未幡,ちんじゃおろおす,北尾タキ,純愛鏡
  • 出版社/メーカー: コスミック出版
  • 発売日: 2010/06/22
  • メディア: コミック
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意外にもVol.1より面白かったです。

意外にも、というのは表紙の惹句からして超頭悪そうだから。だって、こんななんですよ。

好き好き大好き あなたがとっても好き!
ず〜っと一緒だよ 離れちゃヤダからね!!

この、頭に脳みそのかわりにショートケーキが詰まっていそうな甘ったるさ。恋に恋する小学生女子かよ!! と内心突っ込んでしまったのは事実です。でも、フタを開けてみれば、「チョコとミント」(四位広猫)と「溺れる魚」(北尾タキ」の2編がものすごく良くてねー。どちらも意外性のあるオチがすばらしく、「こう来たか!」とニヤニヤしてしまいました。「チョコとミント」はメインカプの片方がオトナだというところがポイント高いし、「溺れる魚」ではキャラの表情のみずみずしさに惚れました。

あたしはかつて、『百合少女 Vol.1』を評して

中高生の話で、しかも古い少女漫画パターン」主体、さらに女のコ同士の恋を「秘めた想い」「汚れた気持ち」などと形容するというある意味コッテコテの本

と述べましたが、上記2話はこうしたパターンからみごとに脱却し得ていると思います。良い方に予想を裏切られて、とても嬉しかったです。

ただし、Vol.2全体を手放しで誉められるかと言うと、これは必ずしもそうではない感じ。最後までドラマらしいドラマが起こらない話、エンディングが無理やりすぎる話、キャラの発想が宇宙人な話、モノローグでひたすらキャラが「私の気持ち発表会」をやっている話等々、残念なクオリティの作品も多かったです。全体的に同性愛を禁断視する雰囲気が薄れてきているのは幸いですが、単純に漫画誌としてまだまだ多くの課題を残す1冊なのではないかと思います。

ちなみに編集後記によると、このVol.2は、

大好きな小説「丘の上のミッキー」や「クララ白書」の雰囲気が出せたらいいなあと、思ってつくりました。

とのこと。もし本当にそうした雰囲気が再現できたらすばらしいことなので、Vol.3もぜひその路線で頑張っていただきたいと思います。

まとめ

「チョコとミント」(四位広猫)と「溺れる魚」(北尾タキ)の2編がとてもよかったです。ただし、他の収録作には、百合云々以前に漫画として首をかしげてしまうクオリティのものも散見されます。Vol.1に比べ、「古臭い少女漫画」っぽさや「汚れた気持ち」路線が減ってきているのは幸いですが、まだ改善の余地はあるんじゃないかなあ。とりあえずVol.3も購入予定です。