石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『flower*flower(2)』(石見翔子、一迅社)感想

flower・flower 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

flower・flower 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

思いの外スローな展開

陰謀うずまく王宮百合ラブロマンス第2巻。1巻の衝撃のラストに、てっきり「この後怒濤の展開が!?」と思っていたのですが、意外にも恋も謀略もかなりのスロー展開でした。1巻のあのしたたるような色気もなりをひそめ、今回もっとも色っぽいのは表紙です。言ってしまえばかなり地味な、「外堀を固める」的役割の巻だと思います。

今回の恋模様について

朱玲(しゅれい)の一途さとニブチンぶりは、相変わらずの可愛らしさです。でも、主にニナの側の事情で、全体的にキャッキャウフフ分は低減中。朱玲の性別がバレたにもかかわらずたいした波乱もなく、なんだか拍子抜けしてしまいました。ただし、お祭りの夜のニナの表情と言動は要注目。ゆっくりとではあっても、着実に愛ははぐくまれています。あとは、それがいつどんな形で実を結ぶかだなあ。

今回の権謀術数について

朱玲の女装兄が何やら策謀してはいるものの、具体的な謎解きはほとんどなされないままです。かなり隔靴掻痒感がある展開だと申せましょう。キャラたちの過去が少しずつ語られたり、ラマの立ち位置がほのめかされたりと、いくつかのヒントがチラ見せされてはいますが、個人的には「おあずけ」感の強い巻でした。襲撃シーンもほぼ想定の範囲内でしたし、何かもう少し意表をつくような部分が欲しかったと思います。

まとめ

いろんな意味で地味めの巻でした。個人的にはもう少し毒気や色気を盛り込むか、あるいは政略面でインパクトのある動きを見せるかして欲しかったところ。「すべての謎が明らかに」(p. 165)されるらしい3巻に期待です。