石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『sweet guilty love bites』(天野しゅにんた、一迅社)感想

sweet guilty love bites (IDコミックス 百合姫コミックス)

sweet guilty love bites (IDコミックス 百合姫コミックス)

オトナのガチ百合恋愛アソート

「club野ばら」に勤めるキャバ嬢たちの、コミカルでキュートな百合ラブストーリー。オムニバス形式で計3話が収録されており、どのお話もすっげーよかったです。メインキャラが全員オトナ(20〜22歳)であるところがまず好感度大だし、たかが性別ぐらいでいちいちテンパらない肩の力の抜け具合もナイス。ゆるめの空気の中にさりげなく今風のテーマが入れ込んであるところにも、目を見張らされました。Hシーンもリアルでかつエロいし、どのお話にも、そのへんに当たり前に転がっていそうなガチ恋愛の雰囲気があるところが嬉しいです。以下、各話の感想など。

「SWEET GUILTY」

猫のような家出少女「宮田」を拾ってしまった「きりえ」の物語。

あ 指先なでなでしただけなのに気持ちーの?
やっぱエロいよねー

なんて場面(p. 21)に代表される、セックスシーンの巧さが最高。pp. 46〜47での行為と会話にも、「わかるわかる」とニヤニヤしてしまいました。「とにかく局部と挿入だけ見せとけ」的な男性向けエロとはまったく違う、こうしたこまやかさが好きです。

ストーリーもよかった。特にあの「おかえり」「ただいま」の甘い幸福感が。猫飼いとしてもいちレズビアンとしても、とても共感しやすいお話でした。

「GUILTY LOVE」

シングルマザーと保育士(♀)とのラブストーリー。

ちょっとだけ! ちょっとぺろってするだけです!

などと叫ぶ保育士「まゆ」のアホアホなエロさ(p. 66)も楽しいんですが、それより何より「同性カップルの子育て」という今時なテーマがきっちり盛り込まれていることに驚きました。それでいてひとつも辛気くさくならずに「パパでママで彼女」というステキ任務が描写されていくところがたまりません。あのおバカなムービーとか、好きだわー。他の収録作も皆そうですが、単に惚れたはれたで終わってしまうのではなく、未来に向けて開かれた関係であるところが気持ち良かったです。

「LOVE BITES」

「こころ」と「くれあ」のキャバ嬢同士の恋物語。一見ゆるふわ系の主人公・こころに、キャラとしての厚みがしっかりあるところがポイント。

ああ 友だち以上って親友になるのか

の場面(p. 120)の雄弁な笑顔とかね、よかったです。ヘタレで初々しいセックス場面や、それと対をなす「プロポーズ」の場面も鮮やかで、楽しく読みました。最後の最後でやっぱりユルいところもすばらしい。

まとめ

どれも甘やかでエロエロで微笑ましいお話でありつつ、リアルな手応えがしっかりあるところが最高でした。ごくごく当たり前な「女同士の恋のあれこれ」を、笑いに包んで「はい」と手渡してくれる作品だと思います。これはおすすめ。超おすすめ。前作『湯けむりサンクチュアリ』に負けず劣らず大好きな1冊です。