石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『すきなひと(1)』(日坂水柯、白泉社)感想

すきなひと 1

すきなひと 1

眼鏡と女のコでいっぱいの恋愛漫画集(ガチ百合あり)

この作家さんらしく、眼鏡と女のコの肢体で満ちあふれる恋愛作品集です。収録作は「すきなひと」(1〜3話)、「ホノカニカヲル」、「からだがはやく」、「まなざしを気にして」(1〜2話)。このうち「ホノカニカヲル」が女性同士のカップルのお話で、短い作品ながらもリアルな感触が素敵でした。

「ホノカニカヲル」について

年上の彼女がいるショップ店員の物語。たった7ページという短さながら、女性同士のカップルのセックス込みの日常を鮮やかに切り取った作品だと思います。嗅覚や触覚をうまく使ったセックス描写と、

…私の躰のことなのに
自分でも知らなかったことまで
倫子さんに
知られてしまう

という淫靡な親密さがよかったです。
なお、あとがきによると、この「ホノカニカヲル」は「第二巻に続きを描き下ろして収録予定」だそうです。楽しみ。

その他の作品について

「ホノカニカヲル」以外は基本的にヘテロ物。ただし、「すきなひと」には毎晩姉のおっぱいをくわえて眠る女子高生キャラが登場しており、サブテーマとしての変則姉妹百合の雰囲気がなきにしもあらず。どの作品も、女性キャラの身体のよく張ったむっちり感が特徴的で、「李白が『温泉水滑洗凝脂』と歌ったのはこういう肌か」と思ってしまいました。また、眼鏡やホクロなどのフェティシズムを感じさせる要素も、いつも通り魅力的でした。

まとめ

ページ数の9割以上がヘテロ物なので、百合だけが目当てな方にはおすすめしません。でも、「ホノカニカヲル」のあの可愛くてエロティックな雰囲気は一見の価値あり。ヘテロ話も百合話も、総じて独特のエロさとあたたかさがよかったです。