石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

百合アンソロジー『つぼみ VOL.8』(芳文社)感想

つぼみ VOL.8 (まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)

つぼみ VOL.8 (まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)

今回もパワー全開。面白かったです!

今回も斬新な切り口の作品が多く、読み応えじゅうぶんでした。隔月刊化してもまったく衰えないパワーにただ拍手。

特によかった作品など

「ゆめよりすてきな」(縞野やえ)

疲れたOLが電車で見かけた可愛い女子高生にフラフラとついて行ってしまい、思わぬ出来事に出くわすお話。何が面白いって、この物語そのものが「百合ものに親しむ楽しさ、すばらしさ」を思い出させてくれること。主人公のドキドキや妄想、そして

人生捨てたもんじゃないな!!

というあのガッツポーズに爆笑しつつ(あるいは涙を流しつつ)共感しまくってしまった百合好きさんは少なくないことでしょう。女のコどうしをただイチャイチャさせて終わりではなく、「百合」を外から見る視線を入れて、かつ力強く肯定していくという構成が斬新でした。また、女子高生の可愛らしさもたまりません。あの、p. 297のいちばん下のコマとか、悩殺もんです。

「タンデムLOVER1 #4」(カサハラテツロー)

2人乗りロボ「タンデマイン」を駆る少女たちの物語、第4話。今回は、パイロット養成校から里帰りした「シマ」と、シマの高校時代のタンデムクロス部パートナー「メル」のお話です。
まず、タンデムクロスの場面のド迫力にモエモエ。あの加速感といい重量感といい、繊細な操作感といい、ホントこの作者さんのメカ描写、好きだわ。燃えるわ。2人の間にいつの間にか生じてしまったズレを、このタンデムクロスの模範演技で表していくところも心憎いです。甘酸っぱくてちょっとつらいオチも好き。

なお、作者さんのコメント(p. 337)によると、ついにこのシリーズのコミックス発売が決定したそうです。やった! 待ってた甲斐がありました。

「ふとめちっくらぶ」(小川ひだり)

実はVOL.8でもっともインパクトを感じたのがこの作品。デブ専ものなんですよ。百合でデブ専! なんという新機軸! 女子中学生同士の物語でありつつ、はみ出るお肉やしたたる汗への萌えと興奮がしっかり盛り込まれており、その本気っぷりに圧倒されました。なお、巻末の作家コメント(p. 337)によると、

最初少し控え目に描いたら肉感の強調を命じられたので、好きに描かせていただきました。満足です!

とのこと。つぼみ恐るべし。「柳の下のどじょう」みたいな同工異曲の女子校ものしか生み出せない百合アンソロは、このアグレッシブな姿勢を見習うべし。

「しまいずむ その13 アスパラガス」(吉富昭仁)

おバカでちょっぴりエッチな百合コメディの第13話。今回のテーマは汗です。当然、汗を舐め合うエロティックなシークエンスありです。でもやっぱり超おバカです。大好きです。アスパラガス! アスパラガス!!

まとめ

今回もすばらしい1冊でした。「ゆめよりすてきな」の主人公みたく、ガッツポーズで「人生捨てたもんじゃないな!」と言いたくなるよな読後感です。無難なフォロワーではなく常にパイオニアでありつづける編集方針に、惜しみない拍手を送りたいと思います。