石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『大奥チャカポン!(2)』(まいたけ、アスキー・メディアワークス)感想

大奥チャカポン! 2 (電撃コミックス)

大奥チャカポン! 2 (電撃コミックス)

なんだか失速しちゃった最終巻

大奥を舞台とする女だらけのドタバタコメディ、最終巻。1巻のあのひっくり返ったおもちゃ箱のような面白さはどこへやら、なんだか失速してしまっています。いくつかの例外を除いて百合表現もかなり定型的だし、アクションも「バトルのためのバトル」になってしまっているように思いました。

百合表現について

桜乃のオンナノコスキーっぷりや出雲のモテモテぶりは一応健在。しかし、両者の目立ったエピソードが「バレンタインに女子からチョコが殺到」ぐらいしか出て来ないあたりが弱いかなーと。桜乃はそれでも御家門の女使に手を出したり杏にセクハラしたりしてはいますが、概して1巻より小さくまとまってしまっている印象はぬぐえません。

心情面での百合描写に関しては、それでも杏とたまが健闘してはいるんですよ。2人とも、ここぞという場面での表情がすばらしかったです。ただ、惜しむらくはどちらも友情寄りのソフト百合なため、全体的に百合漫画としてはかなり薄口になってしまっているように感じました。将軍と御台様の関係とか、もう少し突っ込んで描いてくれたら嬉しかったのですが。

アクションについて

日常の中でのおバカなアクションが減ってしまっているところが残念。1巻の、突然サッカー中継が始まったり、廊下でフランケンシュタイナーしたり、死んだ女中の霊が両手に斧を持って飛びかかってきたりしていたあのテンションはどこに行ってしまったの。突然始まるサト(猫)の争奪戦も、エンディング直前を盛り上げんがための「バトルのためのバトル」にしか見えず、今ひとつでした。

まとめ

百合もドタバタも、1巻ほどのハイテンションが保たれていないところがさみしかったです。杏やたまのライトな百合シーンは決して悪くないのですが、それだけを目当てに読むのはちょっとつらいかも。次回作に期待します。