石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『むげんのみなもに(1)』(高崎ゆうき、一迅社)感想

むげんのみなもに 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

むげんのみなもに 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

やや低年齢層向けか? あたしには合いませんでした

不老不死の少女「カギリ」が、愛する少女「みなも」のために人を殺し続ける物語。頭身低めで目がでかく頭が長いキャラデザイン、メルヘンチックな雰囲気、流血の扱いなどから、ターゲット層はわりあい低年齢なのではないかという印象を受けました。設定の不明瞭さと相まって、大人が読むにはちょっとつらいかも。とりあえず「ロリ成分と流血多めの雰囲気漫画」とあたしは受け取りましたが、2巻以降の展開によってはガラリと評価が変わるかもしれません。

キャラ(の頭)のシルエットが福禄寿

かつて手塚治虫が「キャラクターの年齢は額の広さで描き分ける」と書いているのを読んだことがあります。おでこを広くすれば幼く、狭くすれば老けて見えるというわけで、これには一理あると思います。『むげんのみなもに』のキャラたちのおでこが広いのも、彼女らの幼さを強調する手段ではあるのでしょう。しかし、おでこが極端に広いだけならまだしも、頭蓋骨自体が縦に長いというのはどうなのかと。あたしの目にはロリっ娘というより「目のでかい福禄寿」に見えてしまい、お話に入り込めませんでした。ました。こうした絵をストレートに「幼い少女」と認識するスキーマを持っていなかったあたしの負けです。『ちゃお』等で育って、目がでかい低年齢キャラが活躍するマンガを読み慣れている方なら、あるいはまったく違う感想が出てくるのかもしれません。

残酷描写も低年齢層向け?

カギリはナイフを使う殺し屋という設定で、殺人シーンも何度か登場します。また、カギリ自身も毎回やたらと流血します。ただ、この作品ではそうした死や血に「恐怖」の色が薄いような気がするんです。死ぬのは基本的に悪人ばかりですし、カギリの方はどんな傷でも驚異の再生力で治るという設定らしいですし。流血描写こそ多いものの、どれもいわば安全圏から眺める死であり血であって、なんとなくディズニーランド的であるように思いました。そう、言ってしまえばせいぜい「カリブの海賊」と同程度のダークさなんです。ビジネスとしてはもちろんありでしょうが、あたしには物足りなかったです。

設定のこのへんが不明瞭

カギリもみなもも都合良く両親不在で、しかもおそらく2人だけで同居中。こうなった背景がほとんど説明されていないので、「それ何てエロゲ」としか。今後事情説明がなされるにしても、できたら今の段階で何かもっともらしい設定の欠片ぐらいは見せておいて欲しかったところです。「『親』なんて物語の邪魔」と単純に割り切ってしまえる若年層読者なら、また違う印象を受けるのかもですが。

その他

キスシーンもあればみなもがカギリのおっぱいにかぶりつく場面もあり、主人公たち以外のガチカプも出てきます。そんなわけで、百合方面はわりあいガチ寄りです。

まとめ

ひとことで言うと、「自分は対象年齢層から外れすぎていて無理だった」となります。現役小中学生か、またはそうした層向けのエンタテインメイトを読み解くリテラシのある方でないと、十全には楽しめない作品なんじゃないかしら。残念。