石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『Candy boy(2)』(峠比呂[画]/DRN/2008CP[原作]、メディアファクトリー)感想

Candy boy 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

Candy boy 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

可愛いしキスシーンもあるんだけど……

雪乃(ユキ)と奏(カナ)の双子姉妹百合、完結編。本編では進学を控えたふたりのすれ違いと和解が、そしてサイドストーリー「Candyboy 〜 Young girls fall in love!」では一茶子と咲夜の恋の行方が描かれます。どちらのお話もキャラたちは可愛く、それぞれキスシーンも出てきます。しかしながら、♀♀ラブストーリーとしては今ひとつ煮え切らない印象がぬぐえませんでした。一茶子の鮮やかな告白シーンや、脇の百合カプなどはよかったんですけど。

よかったところいろいろ

一茶子の細やかな心の動きと、それを雄弁に表す表情がすばらしかったです。たとえばp. 125の頬を染めながらの微苦笑とか。告白シーン(p. 153)の、晴れやかな格好よさとか。また、いつの間にか脇キャラに百合カプができているところも、驚きはしたけど嬉しかったです。

ひっかかったところいろいろ

まず本編キスシーンがただの「天然」な勘違いによるものだという設定にがっかり。キス絵が欲しいがゆえにそういう言い訳をつけてみました、みたいな往生際の悪さがひっかかります。また、血縁より好き感情に重きを置くかと思いきや、結局双子であることを強調して終わるオチのつけ方にももやもやしました。p. 92のユキにあんな台詞を言わせちゃ、pp. 90 - 91のカナの名台詞が台無しでは。
1巻第1話のラストでカナが、

これはれっきとした姉妹愛だ 私は断じて変態ではない

と言っていた(p. 118)のを思い出しました。他人同士の同性愛は「変態」、双子同士なら美しい「姉妹愛」というホモフォビックな構造は結局最後まで打破し切れなかったようで、残念に思います。

サイドストーリーの方は、あの人の恋心が突然過去形になってしまうところに脳みそがついていきませんでした。そんな簡単に思い切れるものだったの? と、ちょっとびっくり。ていねいに読み返せば、エピソード05自体が「あの人が自分の想いに決別するお話」であることはじゅうぶんわかるんですよ。好きな人が自分のために本気で怒って泣いてくれた、そのことだけで満たされて吹っ切ることができた、という理屈も、頭ではわかるんです。でも、これだと1冊を通じて「♀♀な両想いが成立するのは『血縁キャラ』と『モブに近い脇キャラ』だけ」って構造になってしまうところが釈然としないんです。せめて妄想補完の余地だけでも残してくれたらよかったのに。

まとめ

キスもあれば告白もある巻ですが、血縁以外の♀♀関係をまっこうから描くことを回避しているようにも見えてしまいます。そんなわけで、あたしには合いませんでした。キャラは皆キュートだし、特に一茶子の表情なんて最高だったんですけどね。