石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『おしおきっ!』(かぐらゆうき、芳文社)感想

おしおきっ! (まんがタイムKRコミックス)

おしおきっ! (まんがタイムKRコミックス)

「犬とご主人」から恋人へ。SMほのぼの百合4コマ

Mな少女「白藤湊」と、Sな生徒会長「東雲紫苑」との百合なあれこれを描く萌え4コマ。面白かったです。ギャグこそオーソドックスですが、SMのとらえ方はそこらの萌え4コマより頭ひとつ抜きんでているかと。「犬とご主人」というロールプレイ設定や、それを通じて描かれるマゾヒスティックな陶酔など、よかったです。ほのぼの日常ギャグの中にかすかなエロスを落とし込んでみせる手腕に脱帽。終盤の直球で百合な展開にも、ニヤニヤさせられました。

「犬とご主人」なメインカプ

第1話(pp. 14 - 15)からしてこれですよ。

紫苑「まったくうるさい子ですね…犬なら犬らしく鳴いてみたらどうなのですか」

湊「…わ わん…っ」

湊(独白)ってあれ…なんで私ドキドキしちゃってるんだろ…?

紫苑「ふふっ 良い鳴き声……そうですね そんなに普通で無くなりたいのなら これから犬として私に仕えなさい」

表情がお伝えできないのが残念です。初めて「犬」となった湊の甘い興奮といい、それを傲然と見下ろす紫苑の側の昂ぶりといい、エロマンガ顔負けの色っぽさなんですよ。それをあえて全年齢向け4コマのデフォルメキャラでやってのけるというギャップ感が、とても面白かったです。

ほのぼのの中の官能

上記の犬プレイもそうですが、「そのものズバリのエロ行為ではないのにたいへん淫靡」というシークエンスが多く、読んでて妄想の翼が羽ばたきっぱなしでした。代表的なのが生徒会にしつらえられた「おしおき部屋」ネタ。中で何が行われているかは一切明かされないものの、そこから出てくる紫苑と湊の上気した顔やら甘美なため息やらがいやらしすぎます。こういう寸止めのエロスの使い方が本当にうまい作品でした。

百合な部分について

最後まで主従SM路線で行くのかと思いきや、終盤で百合成分も急激に増加。描き下ろしのエピローグや、カバー下のおまけ漫画もしっかりラブくてよかったです。

まとめ

日常ギャグの中に百合SMの官能をさりげなく配置してみせた力作。そのものずばりのエロ描写こそありませんが(キスどまりです)、怒濤の勢いで脳内妄想補完劇場が始まってしまう淫靡さが楽しいです。ギャグ部分もカラリとしていて読みやすく、森奈津子さんのファンの方とかにおすすめ。