石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ブルーフレンド(1~2)』(えばんふみ、集英社)感想

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 2 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 2 (りぼんマスコットコミックス)

設定古く、オチ弱し。ただしイタタな思春期友情話としてはアリ

『りぼん』に連載された、女子中学生同士のガール・ミーツ・ガールもの。キスシーンも複数回出てきますが、分類としては「百合になりそうでなりきれない、思春期女子の複雑な友情もの」になるかと。ティーン女子にありがちなイタさや独占欲はうまく描けてるんですが、百合としては設定が古く、オチも弱いです。2巻帯の「百合好きの人も大満足間違いなし!!」なんて宣伝文句は、どう見ても過大広告でしょう。

今どきこの設定はどうよ?

わざわざ今の時代に、

  • 男性からの性暴力→男性嫌悪→女に惹かれる
  • 2人で逃避行の末、自殺未遂

なんていう古典的パターンを持ってこられても、正直困ってしまいます。この作品そのものにはホモフォビアはさほど感じられないのですが、この手のパターンというのは「異性愛がなんらかの『原因』で阻害されると同性を好きになる」とか、「女同士なんてうまく行きっこない」とかいう偏見のもとに繰り返し娯楽として消費されてきたものなので、いち同性愛者として読んでいていい気分はしないです。無邪気にナチスドイツコスプレしている日本人オタクを目の当たりにしたユダヤ人も、こんな気持ちになるのかしら。

あと、演劇の練習シーンで、男性嫌悪の美鈴に歩が

…男が怖かったら 相手をあたしだと思いな

と言うあたり(2巻p. 128)も、ちょっとひっかかりました。狙ってかどうかはわかりませんが、この台詞は結果的に「異性愛の練習台としての一時的同性愛」というこれまた古臭いパターンにはまり込んでしまっていると思います。

オチも弱いです

2巻終盤の美鈴の台詞(p. 164〜167)で、そこまではどうにか保っていた百合な雰囲気が一気に土砂崩れ。そんなんでいいんか美鈴!! やはり異性愛を大前提とするお話だったということで、百合として高く評価するのは難しいと思います。せめて歩の受け答えをもう少し工夫すれば、まだ徳俵に足が残ったかもしれないのにと残念です。

ただし10代の青春グラフィティーとしてはアリ

思春期女子の痛いところやドロドロしたところの描写の「あるある」感がすごかったです。百合部分の設定は古いのに、こういうところの感覚は新しく、また現実味もあるというのはおもしろいですね。1巻から2巻にかけてのミスディレクションの仕込み方もうまかったです。

まとめ

痛々しい青春友情ストーリーとしてはじゅうぶん面白いと思います。しかし、百合目当てで読むと、一部の古さとオチの肩すかし感に愕然とすること必定。あの『りぼん』誌上で女のコ同士のキスを描いてみせたという点は評価に値しますが、帯に太文字で書かれた「この百合マンガがすごい!」という形容には、あたしは賛同しませんね。