石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

レズビアン家庭のドラマ『The Fosters』(邦題『フォスター家の事情』)第1話がとてもよかったです

※2017年10月9日追記:その後このドラマは、『フォスター家の事情』というタイトルで日本のDlifeで放送されています。2017年現在、米国ではシーズン4まで放送されており、少なくともシーズン5まで製作されることが決定しています

米ABCファミリーの、子どものいるレズビアン家庭を描く新作ドラマ『The Fosters』の第1話を見ました。おもしろかった! 予想にたがわず、レズビアンをどこにでもいるあたりまえのお母さんとして描く良作でしたよ。子どもたちのキャラ立てもしっかりしているし、筋立てや台詞回しもよかった。

『The Fosters』は、学校の副校長のリーナと警官のステフという女性同士のカップルと、その子どもたちの物語。お話の開始時点で、この家にはステフの産んだブランドンと、里子から養子になったヒスパニック系の双子、マリアナとヘイスースの3人の子どもたちがいます。第1話では、少年院を出たばかりで行き場のない少女キャリーがこの家で暮らすようになるまでのいきさつが描かれていきます。

キャリーが初めてこの一家と夕食を食べるシーンの会話が特によかったです。レズビアン家庭への偏見が出て来ないからすばらしいという意味ではなくて、その逆。よくある偏見や失言と、それに対する家族の反応の描き方がうまいんです。たとえばさ、キャリーが、ブランドンはステフが産んだ子で、他のふたりは養子だと聞いたあと、お帰りのキスをする母親たちを見てさらっとこんなことを言うんですよ。


「それじゃあんたたち、ダイクなんだ。で、彼(訳注:ブランドンのこと)が本当の息子」
“So you’re dykes. And he’s the real son.”

ダイクってのは女性同性愛者を指すことばだけど、罵倒語としても使われることがあり、あまり良い意味の語ではありません。それに、ブランドンだけが「本当の息子」だったら、他の子たちはニセモノだって意味になっちゃう。でも、子どもたちは一瞬固まった後、ヘイスースがこう柔らかく返すんですよ。


「ふたりは『人間』って呼ばれる方が好きだけどね。でも、うん、同性愛者だよ」
“They prefer the term “people,” but yeah – they’re gay.”

キャリーに悪気があるのかないのか、現時点ではわかりません。でも、ともかくこの家族たちはこういう発言に慣れていて、返し方もわかっている。センシティブな話題だとは思っているし、傷つかないわけではないけど、こんなことでいちいち自分たちの価値が損なわれたりしないと根っこのところでわかってるんです。そういうことが即座に伝わってくる、心憎い場面だと思いました。

ステフとリーナの描き方もよかったなあ。キスシーンもあればベッドで一緒に寝る場面もあるんだけど、ラブラブでありつつ無駄なエロ演出は一切ないの。ましてや、「キスする代わりに舌を突き出して、舌先を合わせてひらひら動かす」みたいな、失笑ものの描写は皆無。嬉しいー。どこにでもいる職業人、家庭人としてのレズビアン像ってほんとに貴重ですからね。

ストーリーそのものもサスペンスフルで面白く、第2話以降へのヒキもちゃんとあって、今後の展開が楽しみです。ちなみにこの作品、日本での放映はまだですが(本国でも始まったばかりですし)、米国のiTunes Storeで買うことができますよ。第1話は無料です。

なお、第2話のスニーク・ピークはこちら。キャリーについてさらに掘り下げ、マリアナの隠し事(第1話でヘスースにバレたあれね)についても描かれるようですね。みんないい子たちだしあんまりつらい目に遭ってほしくない、と早くも感情移入してハラハラしているあたしです。