石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『かなめも(5)』(石見翔子、芳文社)感想

かなめも (5) (まんがタイムKRコミックス)

かなめも (5) (まんがタイムKRコミックス)

あざといと思いきや、伏兵は意外なところに

新聞専売所が舞台の百合4コマ、第5巻。はるかのセクハラネタもみかの妄想暴走ネタも類型的になってきてるし、言葉尻やら偶然頼みやらでなんでもかんでも微エロに持って行く傾向もあざといなー…と斜に構えて読んでいたのに、ユメとユーキのラブさにノックアウトされました。いきなりのキスシーン(p. 77)とか、ありゃあ不意打ちだよ! 油断してた分、完全にやられたよ!! さらにその後のマッサージの場面(p. 112)とかもね、さすがにセックスしてるカップルはひと味違うわと思いました。意思も欲望もはっきりあって、しかも可愛くて。たまらん。

ユメとユーキに関しては、

「…対等ってむずかしいね」

「そうね…」

のコマに代表される、絵の雄弁さやエロティックさもよかったです。もはやこのカップルを見るために読んでいるといっても過言ではない、そんな『かなめも(5)』でした。

あとちょっと気になるのは、5巻最後の「夏の終わり」の回にちらちらと登場している黒いアレですね。巻末の告知によると6巻が最終巻だそうですが、同作者さんの『スズナリ!』がそうだったように、ちょっと不吉めの伏線から結末になだれ込むという算段なのでしょうか。何にせよ、目が離せないことは確か。

まとめ

あざとさ多めの演出が目立つ中、ユメとユーキのカップルがきわだってよかったです。6巻でお話全体をどうまとめていくのか、気になるところ。