石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『はやて×ブレード(17)』(林家志弦、集英社)感想

はやて×ブレード 17 (ヤングジャンプコミックス)

はやて×ブレード 17 (ヤングジャンプコミックス)

導入うまいなー。百合部分にも拍手

16巻を読んだときにはどうなることかと思ったのに、何このみごとな17巻。キャラ紹介を兼ねた導入部の作り込みといい、久々の百合っぽさといい、少年漫画のパロディ的なおもしろさといい、大満足の1冊でした。大きな伏線も着々と回収され始めてるし、信じて読み続けてきてよかった。

導入部

黒組の計画を明かすとともに新旧キャラをまとめて紹介していく第97話がわかりやすく、かつおもしろかったです。特に、「黒組の持っている剣待生データがいちいち盛られていて、同時にキャラの本質を突いてもいる」というアイディアが輝いています。気になるのは黒組リーダー・風吹一(はじめ)のボケが天地学園のとある人とかぶり気味なところですが、実はそれも伏線でありキャラ紹介でもあるというところも気が利いてます。

百合

悩める槙からはやてへの質問をきっかけに、いよいよ「綾那の嫁は結局誰だ問題」(と勝手に命名)が表面化。早い話が、綾那とゆかりの因縁対決の後、誰と誰とが刃友になるのかという問題ですね。しかしはやてのバカゆえのふっきれた発言からそこはいったん棚上げとなり、物語はいよいよ綾那とゆかりの直接対決へと突入していきます。

槙の悩みっぷりや、綾VSゆかり戦の「腐れ縁の元恋人との痴話ゲンカ」的な会話が、しばらくぶりに激しく百合です。ここ何巻か百合っぽさが薄くて、このまま単純な「友情・努力・勝利」だけになっちゃったらどうしようと思っていたところだけに、この流れには心躍りました。

パロディ

実は黒組が初めて登場したあたりから、「なんだか『リングにかけろ』の影道一族みたい」と思っていたんですよ、なんとなく。果たしてこの巻で車田漫画には欠かせない擬音「ザシャア」が大ゴマで登場しており、しかもギャグにもなっていて、たいへんウケました。他の部分でも少年漫画特有のクリシェが敢えて意図的に散りばめられており、物語を効率よく進めるとともに、一種のパロディまたは本歌取り的な興趣を添えていたと思います。

まとめ

少年漫画の換骨奪胎でありつつ百合としてもおいしいという稀有な展開でした。キャラや設定の説明にも工夫がこらされており、物語に没入しやすいです。エンディングまでこのクオリティが保たれていることを祈ります。