石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

騎士が王子と結婚する絵本『Bravest Knight Who Ever Lived』が話題に

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児童文学作家ダニエル・エリコ(Daniel Errico)氏の絵本『Bravest Knight Who Ever Lived』(訳すと『史上もっとも勇敢な騎士』)が画期的だと話題を呼んでいます。主人公の騎士が、王女ではなく王子と結婚する物語なんです。

詳細は以下。

This Children's Book Is Super Adorable And Just Happens To Have A Gay Protagonist

このお話の主人公は、元カボチャ農家の少年・セドリック。持ち前の勇気で王宮の馬車を泥棒から守ったことから取り立てられ、騎士となった彼は、のちにドラゴンをもやっつけます。竜退治の後、王女から求婚されるセドリックですが、実は彼が愛していたのは王女ではなく王子。王子はセドリックの本心を聞いて喜び、当初はとまどった王もふたりの結婚を認めて、めでたしめでたしでお話は幕を閉じるのでした。

Vimeoに朗読つきで全ストーリーがupされているので、貼っておきますね。

The Bravest Knight Who Ever Lived from Daniel Errico on Vimeo.

動画の中ですごくいいなあと思ったのは、王女に求婚されたときのセドリックのこの台詞。

「王女さま、あなたは親切な方です。お友だちになれてうれしく思います。でも、ぼくは勇気を出して、それはぼくのダンスの仕方ではないと言わねばなりません。ぼくには他に愛する人がおり、その人こそ運命の人だと思っています。王子さまと結婚したいのです、もし彼がぼくと同じ気持ちであれば」

"Princess, you are kind. And I'm glad we're friends. But now I must be brave and say that isn't how I dance. There's someone else I love and I believe we’re meant to be. I would like to wed the prince, if he feels the same for me"

タイトルの「もっとも勇敢な騎士」というというのは、ここにかかってくるわけですよ。確かにこの発言は、ある意味竜退治より勇気がいることなんじゃないかと。

やはりと言うべきか、保守派団体はこの絵本を「伝統的な家族の価値への攻撃」として批判しているようです。しかしね、伝統的なヘテロ家族の価値が絶賛される絵本は既にトラック何倍分も(いやひょっとしたら東京ドーム何倍分も?)あるんだから、ゲイの子供やゲイ・ファミリーの子供が共感できる絵本を新しく作ったっていいじゃないですか。少なくとも子供時代、幼稚園にも小学校にもヘテロエンドの絵本しかなくて「けっ」と思っていた自分としては、こういう『Bravest Knight Who Ever Lived』のような絵本は大歓迎です。むしろもっとたくさん出してほしいわ。

それにだいたい、おとぎ話というものは時代と場所によってどんどん変わっていくもの。何もかも「伝統」通りにしろというのなら、たとえばディズニーのシンデレラを元通りの中国の話に戻し、ヒロインにはガラスの靴をはかせる代わりに纏足させなければなりません。でも、無理ですよね、それ。社会の変化を無視しておとぎ話に「変わるな」と命じるのは徒労というものだし、誰も王女と結婚したい騎士にまで「男と結婚しろ」と強制してるわけじゃないんだから、放っとけやと思います。