石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

中国のゲイ男性、ゲイ治療広告を表示した検索エンジンを訴える

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2014年3月13日、中国のゲイ男性が、効果のない同性愛治療の広告を表示したとして、同国最大の検索エンジン「百度」(バイドゥ)を訴えました。

Gay man sues China’s largest search engine for promoting conversion therapy | Gay Star News

この男性は「Xiao Zhen」さんと名乗っており、年齢は30歳。彼によると、百度で「同性愛」と「ゲイ治療」を検索したところ、どちらの場合も重慶市にあるXin Yu Piao Xiang (XYPX)なる心理コンサルタントの同性愛治療の広告が1位表示されたとのこと。

この手の「治療」に効果があるという科学的エビデンスはなく、心理学や精神医学の専門家からは、むしろ「治療」を受けた人に害を及ぼす可能性があると指摘されています。だからてっきり「こんな有害なものの広告を載せるな」という訴訟を起こしたのかと思ったら、ちょっと違ってました。Xiao Zhenさんはこの広告を信じて、「治療」を受けに行ったんです。

30000元(約50万円弱)のコースで「治る」と言われた彼を待ち受けていたのは、電気ショック「療法」。内容は、催眠状態で「男性と一緒にいる」という暗示をかけられて、性的に興奮するたびに電気ショックを与えられるというもの。

めちゃくちゃ恐くて、わたしはすぐに飛び上がりました。しかし彼は大丈夫だ、成功するには我慢が必要だと言い張りました。

‘I was freaked out and jumped up at once, but he insisted that it was all right and that one needed persistence to succeed.

Xiao Zhenさんは初回の代金として500元(約8200円)払い、これきりでやめると決めました。その後百度に何度苦情を言っても無視され、訴訟に踏み切ったとのこと。

PFLAG(米国発祥のLGBT支援団体)中国のAh Qiang氏は、以下のように話しているそうです。

百度は虚偽の広告を違法に宣伝しているだけでなく、同性愛治療に関するいんちきな主張を優先的に掲載しているのです。実質的に、同性愛は治療が必要な病気であるというメッセージを拡散しているわけです。

Baidu has not only illegally promoted false advertisements, but it also gives priority to such sham claims about gay conversion in its recommendation to users.
‘It has effectively spread the message that homosexuality is a disease that has to be treated,’ he said.

さて、ここで「広告は自由」「だまされる方が悪い」などとお思いの方は、先日日本で起こった、京都銀行を装う偽サイトがYahoo!の検索連動型広告として表示されていた事件を思い出してください。早い話がYahoo!は関連キーワードで検索したユーザをフィッシング詐欺のサイトへと誘導していたわけですが、この件に関して、Yahoo!には何の責任もないのでしょうか。今後も広告審査基準を変えず、「だまされる人が悪い」とフィッシングサイトを表示し続けていいのでしょうか。それは何か、違うんじゃない? 

ちなみに今、http://www.baidu.jp/で「同性恋」「同性恋疗法」などのキーワードで検索してみた限りでは、「この心理セラピスト」の広告は見つからないようでした。中国本国だけなんでしょうか。それとも、訴訟にあたって広告をひっこめたのでしょうか。いずれにせよ、Xiao Zhenさんがこの訴訟に無事勝って、いんちき広告の被害に遭うゲイが減るよう祈っています。