石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

保護者の苦情で停職させられた米トランス教師、復職へ

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米国テキサス州のトランスジェンダー女性の代用教員が、保護者の苦情や脅しのため一旦停職させられたのち、復職を認められたそうです。

詳細は以下。

BREAKING: Transgender teacher says she's been reinstated by Lumberton school district - Lone Star Q — Texas Statewide LGBT News Source | Lone Star Q — Texas Statewide LGBT News Source

この女性教師はローラ・ジェイン・クラグ(Laura Jane Klug)さん(52)。2014年4月初旬、州南東部のランバートン・インターミディエイト・スクール(Lumberton Intermediate School。4~6年生が通う小学校)の5年生を担当する代用教員として着任したところ、彼女のジェンダー・アイデンティティーが子供たちを「動揺させる」と保護者たちから苦情が出て、4月8日から停職扱いにされてしまったとのこと。この先生をやめさせなければ子供を登校させないとして学校を脅した保護者もいたそうです。

以下、保護者のひとりの言い分です。

それについて知ることがうちの子や、うちの子の能力に悪影響を及ぼしたり、わたしが不適切だと感じるような質問を喚起したりするようであれば、トランスジェンダーや、トランスセクシュアルや、トランスヴェスタイトである人にこの年の子供たちを教えさせることには間違いなく問題があります。

“If it does affect my child and his ability to learn or if it causes questions that I don’t feel are appropriate then undoubtedly there’s an issue with having somebody transgender, transsexual or transvestite, to be teaching that age group,” Beard said.

これだけでこの保護者がいかに知識不足なのかわかってしまいますね。トランスジェンダーとトランスセクシュアルとトランスヴェスタイトは別の概念なのに、それを全部一緒くたに論じているところがまず変。そして、「この年の子供」にもクラグ先生のようなトランスジェンダーの子がいるという発想がゼロなところはもっと変。子供への悪影響に関して言うなら、このような無知と誤解からくる排除のお手本を子供たちに見せつけることの方が、よっぽどまずいんじゃないでしょうか。

ランバートン学校区(教育委員会)は4月10日、この件に関してパブリックコメントの聴き取りをおこなったのち、非公開会議を開催。会議の後、教育長がクラグさんに対し、同学校区で再び代用教員を続けることができると話したとのこと。

クラグさんの意見は以下の通り。

「願わくはこれが関係者全員にとって本当によい学びの瞬間となってくれますよう」とクラグは話した。「間違いなく、校長先生たちにとってはジェンダー不適合な人々の問題に取り組むチャンスです。それに、このことは、自分のジェンダーに疑問を感じている誰かに、前に進む勇気を与えてくれるかもしれません」

“Hopefully this is going to be a really good learning moment for everybody involved,” Klug said. “It’s certainly an opportunity for principals to address the issue of people who are gender-nonconforming. Also, it might encourage somebody who is questioning their gender to maybe come forward.”

ちなみにテキサス州にはトランスジェンダーの雇用を守る成文法はないものの、トランスジェンダーであることによる差別は合衆国公民権法第7編に反するという主張が法廷で認められた前例があるため、たとえ偏見持ちの保護者たちがどんなに粘ったところで法的に勝ち目はなかった模様。

なお、パブリックコメントの場にはクラグさんの支援者が多数集まり、その人数は反対派を上回っていたとのこと。反対派が「クラグ先生がどちらのトイレを使うかが心配」などと述べる一方、支援者のひとりは涙を浮かべて「わたしの父はわたしのジェンダー・アイデンティティーを知りません」と語ったそうです。トランスジェンダー当事者の支援者だったんです。この問題について考えたことのない人にとって、これは本当に大切な「学びの瞬間」だったのではないかとあたしは思います。