石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

フィンランド郵便博物館で「トム・オブ・フィンランド」展開催(2014年9月~2015年3月)

Tom of Finland: The Art of Pleasure (Taschen specials)

フィンランドでトム・オブ・フィンランドのホモエロティックな切手が発行されるというニュースが、最近Twitterで話題になりました。でも、驚くのはまだ早い。同国では9月から郵便博物館でトム・オブ・フィンランド展も開催するみたいですよ。

詳細は以下。

Sexy, Iconic Tom Of Finland Images Are Now Postage Stamps / Queerty

「トム・オブ・フィンランド」とは、フィンランド出身のアーティストTouko Laaksonen氏 (1920-1991)の別名。ゲイ・エロティカで有名な人で、イテラ(フィンランド政府所有の郵便企業)発表による切手のデザイン(の一部)はこんなです。

この「トム・オブ・フィンランド」切手は2014年9月発売予定で、ワシントンポストによれば、全部で33種類のデザインがあるそうです。露出が多いデザインに関しては議論もあったとのことですが、「わたしたちは2014年に生きたいと思ったのです」と、イテラ開発部門ディレクターのMarkku Penttinen氏は話しているとのこと。

切手の発行に合わせ、同国の郵便博物館では、2014年9月から2015年3月までの間、トム・オブ・フィンランド展が開催されます。初公開の書簡を多数展示してこのアーティストの「多面的な肖像を描く」一方、トム・オブ・フィンランドのアートワーク、写真、初期の絵画や肖像画なども展示されるとのこと。

Queertyはこの試みは「ハーヴェイ・ミルクの切手がようやく発行される米国より何年も先を行っている」(大意)と書いていますが、確かにそうですね。日本も、田亀源五郎さんのイラストによるマッチョゲイ切手ぐらいまで出さないと到底追いつけそうにありません。

さて、ここから先はちょっと余談。

トム・オブ・フィンランドをこれだけ大プッシュしているからと言って、そこで「フィンランドすごい、偉い」と手放しで拍手するのも実はちょっと違うみたいです。以下のブログに、たいへん鋭い指摘がありました。

Male Order: Tom of Finland and the Queer Iconography of Postage Stamps | Notches: (re)marks on the history of sexuality

上記リンク先を読んで初めて知ったのですが、フィンランドでは2014年1月、同じフィンランド人のトーベ・ヤンソンの記念切手が発行されてるんですね。トーベはレズビアンだったのに、こちらの切手の説明では、イテラはなぜかそのことに触れずじまい。パートナーだったトゥーリッキ・ピエティラのことも、あいまいにしか説明されていないとのこと。つまり、同じ年度に、同性愛者のアーティストふたりの記念切手を発行するにあたって、どういうわけか片方だけ(ジェンダー差によって?)、セクシュアリティが不可視化されてしまったわけ。

LGBTの「G」が寛容に扱われるとそれだけで「進んでる」「リベラルだ」と賞賛されてしまいがちだけど、実はまだ課題は残っているってことですね。「いつか日本でクィアな人が記念切手になるとしたら、最初に選ばれるのは誰で、その人のセクシュアリティについては言及されるのだろうか」とか、いろいろ考えちゃったわ(誰か賭けない?)。そんなわけで、いろいろ考えさせられるニュースでした。