石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『星川銀座四丁目(2)』(玄鉄絢、芳文社)感想

星川銀座四丁目 (2) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

星川銀座四丁目 (2) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

話が破綻気味。年の差設定の限界か

女子中学生「乙女」と、その13歳歳上の同居人「湊(みなと)」の、年の差百合ストーリー。年齢差設定を扱いきれなくなってきたのか、キャラの行動に説得力がなく、あちこちでドラマが破綻しています。1巻はおもしろかったんだけどなー。

「責任」はどこ行った

もっともひっかかりを感じたのは、「責任」という概念の不統一さです。今回、描き下ろし中で湊は、乙女とのキスを誰かに見られたら「保護者の私が責任とって先生を辞める」(p. 142)と発言しています。そもそも、この年長者の責任があるからこそ、ふたりはキス以上の行為を我慢しているという設定なんですよね。しかしその一方、乙女が失踪しても湊は警察にすら行かず、家でやさぐれているだけ。責任とやらはどこ行った。これ、13歳の、しかも血の繋がらない娘さんを保護してる大人の行動じゃないですよ。両方成人済みか少なくとも18歳以上の、大人同士の痴話ゲンカ時の行動でしょ。

つまりこの2巻では、ドラマの根幹をなす(はずの)、「年齢差をどう乗り越えるか」という葛藤の扱いに一貫性がないんです。年齢差は場当たり的に問題視されたり、突然「なかったこと」にされたりしているだけ。葛藤のあやふやなドラマが魅力あるストーリーを紡ぎ出せるはずもなく、クオリティは推して知るべし。

乙女の言動も不可解

乙女が塾講師「かなえ」の家に転がり込む際の「責任は取ってもらいます」(p. 94)という台詞にも違和感ありあり。乙女がなぜ、悪意ある内容を湊に「チクッた」(p. 94)かなえが突然悪意をかなぐり捨てて自分に親切にすると考えたのかが理解できません。この漫画が言うところの「責任」の意味がますますわからなくなってきます。

もっとも、この直前の乙女が、

どうすんのあたし
こんな時間に飛び出しちゃって
実家には帰れないし
すぐ先生(引用者注:湊のこと)に見つかっちゃう

とわざとらしいほどの説明台詞をつぶやきながら走っている(p. 90)ことから判断して、おそらく乙女がかなえと一時同居するという設定が先にあって、乙女はその設定の尻ぬぐいをしているだけなのでしょう。しかし、人物とアクションがちぐはぐなままストーリーだけ進められても、読んでいる側としてはついていけないわけですよ。そもそもキャラにご都合主義的な言動をとらせないと話が進まない時点で、プロット弱すぎなんじゃないの?

まとめ

年齢差による禁断設定はどこへやら、いつの間にか「同年代の大人同士の痴話ゲンカ」を適当に投影しただけの無責任ストーリーと化してしまっています。キャラは単なる設定の尻ぬぐい係となっており、物語にだいぶ綻びが見えてきている感じです。絵は相変わらずかわいいし、一部のファン層が喜びそうな入浴シーンだのキスシーンだのはありますよ。でも、それだけ。本当にそれだけでした。どうなるんだ3巻。