石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『星川銀座四丁目(3)』(玄鉄絢、芳文社)感想

星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

エロによるテコ入れ感あり。しかしまとめ方は堅実

年の差百合ストーリー、最終巻。乙女の自慰シーンがあったり、それを目撃した人への口止めとしての百合Hシーンが出てきたりで、正直「エロでテコ入れしてみました」感は否めません。ただし後半の展開は意外にも堅実で、エンディングもきれいにまとまっています。PC(ポリティカリー・コレクトネスの方ね)的な観点からは一部に古さも感じますが、2巻のあのグダグダっぷりからよくぞここまで立て直したものだと、まずは拍手を贈りたいです。

なぜか突然エロ漫画に。

乙女がある少女に自慰を目撃され、口止めとして脱がされたり触られたりするくだりは陳腐なエロ漫画シナリオそのもの。そこまでの比較的ストイックな展開とのバランスに欠けると感じました。その次の回でメインカップルの初セックスが描かれるため、エロ漫画的な部分がそのための前哨戦(盛り上げ役的な意味で)という位置づけだった可能性は否定できません。しかし、だとしてもやはり「安直なテコ入れ」という第1印象をくつがえすことはできませんでした。

後半とエンディングには納得

一転して乙女と湊の初セックス後の流れには破綻がなく、エピソードを着実に積み上げた上でのハッピーエンドも好感度大です。ストーリーが上滑りしていた2巻と、突然エロ漫画と化した3巻前半の後に、これだけきちんとした結末が用意されていたというのは嬉しい驚きでした。

『星川銀座四丁目』シリーズの最大の特徴は、恋の障害となるタブーを「女同士であること」ではなく「片方が未成年であること」に置いた点にあると思うんです。2巻で曖昧になってしまっていたそのタブーを乙女の親権問題を通じて再び明確にし、メインカップルに真正面から葛藤を乗り越えさせていくというのがこの3巻(の、特に後半)。キャラクタの欲求や考え方、そして変化がはっきりと伝わってくる、よいまとめ方だったと思います。

PC的な視点からすると

湊の、

私たちは一緒にいても結婚できるわけじゃないし子供も作れない

という台詞(p. 51)は、正直言ってやや古いと感じました。今はもう、同性婚できる国も、子供を持つ同性愛者もどんどん増えている時代ですからね。「そんなの海外の話」と言うなかれ、日本国内にだって、計画的に子供を作って育ててるレズビアンはいますよ既に。無知な人たちが勝手に「いない」と決め込んでいるだけです。しかしまあ、一般的なシスヘテロ読者のための漫画としては、このあたりがいい落としどころだったんじゃないかと。

まとめ

一部エロ漫画的な安直さも感じますが、後半のまとめ方には納得。ストーリーはじゅうぶんに完結しているし、視覚的にもきれいな終わり方だったと思います。