石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ヒトはジェンダーの知覚に「化学感覚的コミュニケーション」を使っている(中国研究)

Does it smell?!
Does it smell?! / LukePricePhotography

中国の研究で、ジェンダーと性的指向によって性ホルモンに対する反応が違うという結果が出たそうです。これはヒトがジェンダーの知覚にヒトホルモンによる「化学感覚的コミュニケーション」を使っていることを示すものだと研究者たちは主張しています。

詳細は以下。

Chinese researchers show gay men react to male sex pheromones | Gay Star News

これは中国科学院でおこなわれた研究で、2014年5月1日、『Cell』誌に論文が掲載されています。

この研究は、まず男性と女性の被験者にアンドロステンジオン(男性の汗や精液に含まれるホルモン)またはエストラテトラエノール(女性の尿に含まれるホルモン)のにおいを嗅がせ、それからポイント・ライト・ウォーカー(モーションキャプチャーなどで使われる、実写映像の人間の関節部分を白い点で表し、黒背景で動かすアニメーション)を見せて、歩いているのが男か女か判断してもらうという手法でおこなわれました。

上記の「ポイント・ライト・ウォーカー」というのは、こんな動画のことです。ご参考まで。(実験に使われたのと同一の動画ではありません)

結果として、歩いている人物のジェンダーを判断するにあたって、性ホルモンが以下のような影響を及ぼすことがわかったそうです。

グループ アンドロステンジオン エストラテトラエノール
異性愛者男性 影響なし 女性と判断しやすくなる
異性愛者女性 男性と判断しやすくなる 影響なし
同性愛者男性 男性と判断しやすくなる 影響なし

なお、両性愛者または同性愛者の女性の反応は、異性愛者男性と異性愛者女性の間に位置していたとのこと。

論文のサマリーでは、この結果は、(1)アンドロステンジオンとエストラテトラエノールには異性の情報を伝える作用があり、性的指向によって効き方が違う、(2)人間は視覚でジェンダーを知覚するとき、潜在意識下で化学的・生物学的な手がかりを利用している、ということを示すものであると結論づけられています。Gay Star Newsでは、この研究は「セクシュアリティーが物理的に脳に組み込まれていることを示している」と説明されていますが、サマリーを読んだかぎりでは、そこまで踏み込んだ主張はされていないようです。

とりあえず、「エクソシストで同性愛の悪魔を祓う」などと大真面目で主張してる米国英国の教会よりよっぽど科学的かも。こういう研究結果が、「ホモやレズは性ホルモンを『正しく』知覚できない病人なのだ!」みたいな妙な方向に使われないことを祈ります。