石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

臭い環境にいるとホモフォビアが強くなる傾向がある(米研究)

a smelly sock
a smelly sock / ▓▒░ TORLEY ░▒▓

米国アーカンソー大学の研究者が、人は悪臭を嗅ぐと政治的に保守的になりやすく、同性婚への嫌悪感が強くなりやすいという研究結果を発表しました。

詳細は以下。

Smelly Environment Can Increase Homophobic, Politically Conservative Views According To Study

この研究は、嫌悪感が社会政治的な意見や行動に及ぼす影響を調べるためにおこなわれたもの。調査手法は、

  1. オンラインで募集した57人の被験者のうち、ランダムに選んだ30人を対照群とし、残る27人に酪酸の臭いを嗅がせる
  2. それぞれ「道徳」「性」「病原体」の3分野に関する質問に答えてもらい、各項目への嫌悪感の度合いを調べる

というもの。

ちなみに酪酸というのは銀杏の悪臭の正体です。汗や足の臭さの元でもあります。実験では、酪酸を染みこませたコットンパフを部屋の中に隠しておくという方法がとられました。

結果として、悪臭にさらされたグループの方が政治的に保守的な回答が多く、同性婚に強く反対する人が多かったのだそうです。以下、「PLOS One」誌に発表された論文より引用します。

悪臭下に置かれた参加者の方が、友人や家族が同性婚しようとすることに強く同意した人が少なく、同性婚に強い嫌悪を示した人が多かった。たとえば、無臭の環境下にいた対照群では、友人や家族が同性婚しようとすることに強く反対した人はゼロだったのに対し、悪臭群では25.9%が強く反対していた。

A smaller percentage of participants in the disgust odor condition strongly agreed with allowing friends or family members to pursue same-sex marriage and a larger percentage in this group strongly disagreed with such an idea. For example, zero participants in the no odor control group compared to 25.9% of participants in the disgust odor group strongly disagreed with allowing friends or family to pursue same-sex marriage.

もちろん、これだけで同性愛嫌悪のすべてが説明できるわけではありません。被験者数も少ないことですしね。しかし、ハフィントンポストで合わせて紹介されているネブラスカ大学の研究(2011)が、また面白くてですね。こちらの研究では、保守を自認する人とリベラルを自認する人に、嫌悪感を催すような画像(ミミズを食べる男性の写真など)をそれぞれ見せたところ、前者の方がより強い嫌悪感を感じたという結果が得られています。これは「人間の政治的方向性の形成には、生理的素因が関与している」ということを示すものだと、この研究をおこなったSmithとHibbingは述べています。今回の酪酸を使った研究も、どこかそれとつながるものがあるんじゃないかなあ。

さて、ハフィントンポストのコメント欄ではさっそくホモフォーブ(同性愛嫌悪の人)の皆さんがおちょくられているようです。

ということは、ホモフォーブは家を掃除する必要があるってこと?

So homophobes need to clean their houses?

それから、月に1回以上シャワーを浴びる必要もね。

And take a shower more than once a month.

踏んだり蹴ったりですな。とりあえずあたしも、今後あまりにひどい同性愛嫌悪に出くわした際には「この人は足が銀杏の香りで無意識のうちにイライラしているのかも」と考えて溜飲を下げてみようかと思います。