石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ぷあぷあ?(5)』(コンノトヒロ、講談社)感想

ぷあぷあ?(5) <完> (ワイドKC 週刊少年マガジン)

ぷあぷあ?(5) <完> (ワイドKC 週刊少年マガジン)

本は厚いが中身は薄し

貧乏美少女4コマ、第5巻。最終巻なためかページ数だけは多いものの、中身は定番ネタに安直なヌードを絡めただけの薄口なもの。百合ネタも一応あるものの、描き方はとことん男性目線。乳だの尻だの触手だのが出てくるだけで喜ぶ低年齢層向けかな。

読者、舐められてるなー

「とりあえず大ゴマで裸出しときゃ大喜びするんだろ」的な安易な姿勢がどんどんエスカレートしていくところがいただけませんでした。「読み手の知性や常識を見くびると、ストーリーも登場人物もレベルが低くなる」という事象のお手本のようです。

百合について

ショーコのヘテロ性が強調されている点をもって「百合じゃなくなった」とお嘆きの方もいらっしゃるようですが、もはやそれ以前の問題かと。というのは、女体のパーツにいちいち大興奮するサツキの姿が全然百合キャラに見えないんですよねあたしには。だって、女なら、乳も尻も女性器も全部自分でひとそろい持っていて、珍しくもなんともないんですから。あそこまで「物」としての女体に反応するってのは、ヘテロ男性のポルノに対する姿勢っすよ。

サツキの周辺のみならず、この作品中での女体の扱われ方全般が、スーザン・フィスクの研究結果を連想させるものがありました。以下、ニュース - 文化 - 男性はビキニの女性を“対象”とみなす - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)より引用。

男性の脳をスキャンした結果、肌の露出度が高い女性の写真を見せられたとき、脳の道具の使用とかかわる領域が活性化することが明らかになった。

また、研究を率いたプリンストン大学の心理学者スーザン・フィスク氏によると、男性はセクシーな女性の写真を「押す、つかむ、扱う(I push, I grasp, I handle)」といった一人称の動詞と結び付ける傾向があるという。

「さらに、“ショッキング”なことに、相手の意図を考えるときなどに反応する脳の領域がまったく働かない男性もいた。つまり、そうした男性は女性を性的な魅力があるとはとらえるが、女性の心については考えていない。社会的認知にかかわる領域が活性化しないのは本当に異常なことだ。そんなことはめったにないから」と、フィスク氏は指摘する。

この『ぷあぷあ?(5)』でも、女性キャラの体はあくまで押したり、つかんだり、扱ったりする「物」あるいは「道具」としてしか描かれていないように思います。心理面の描写は、概して空疎。これを百合とは、あたしには呼びがたいです。

まとめ

百合として楽しみたいのなら2巻まででやめておくのが吉。百合方面に期待せず、エロネタ多めの4コマと割り切って読むのなら4巻まではいけます。この5巻は、どちらの意味でもおすすめしません。