石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ゆかひめ!(1)』(ほっぺげ、芳文社)感想

ゆかひめ! (1) (まんがタイムKRコミックス)

ゆかひめ! (1) (まんがタイムKRコミックス)

クラス委員がもてまくるハーレム百合4コマ

クラス委員長の主人公・姫宮結花がさまざまな女子からもてまくるハーレム百合4コマ。もてると言っても身体的ないちゃいちゃのお気軽さがいかにもヘテロっぽいし、主人公の魅力も不明瞭で、あたしにはピンと来ない作品でした。

いちゃいちゃ描写がヘテロ的

以前バイセクシュアル女性の友人と話していて意見が一致したんですが、女同士だからと気軽に胸に触ったり抱きついたりするのは、バイセクシュアルやレズビアンより圧倒的にヘテロ女性に多い行動なんですよね。おそらくこれは異性愛規範をがっちり内面化したヘテロ特有の、「女同士の身体的接触なんて、男女間のそれほど大きな意味はない。だから勝手に触っちゃっても許される」という発想に基づくものだと思います。早い話が「女同士はノーカンだから大目に見てもらえるはず」という甘えがあるわけ。

『ゆかひめ!』のキャラたちが同意なく結花に抱きついたり、スカートをめくったり、そうした様子を傍で見ながらニヤニヤしていたりする様子にも、この能天気な「女同士はノーカン」という前提の気配がします。あたしの目から見るととてつもなくヘテロ的であり、従って共感しづらく、最後までお話に没入できませんでした。

主人公に魅力なし

結花の行動は基本的にリアクションだけ。周囲の行動に反応するばかりで、自分からのアクションが希薄なんです。キャラの行動原理として描かれるのは「よい委員長だと思われたい」という外面的な目的どまりで、内発的に何を求めてどう動くキャラなのかがさっぱりわかりません。従って主人公としての魅力が感じられず、なぜこうも女の子たちにもてまくるのかも、ピンときません。

おそらくこれは、「ハーレムエロゲの平凡な男主人公ポジションに自分を投影して、しかも男性性は抜きでキャッキャウフフを楽しみたい」という読者層にとってはベストなキャラ造形ではあるのでしょう。しかし自分にはそういった欲求はないので、最後まで首をひねりっぱなしでした。

まとめ

女の子同士のいちゃいちゃを描いているようで、その実強固な異性愛規範が透けて見える萌え4コマ。主人公の人物像も弱く、あたしには響きにくい作品でした。続刊を読むかどうかは考慮中。