石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

WHO、トランスジェンダーとインターセックスへの断種手術強制を非難

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Logo of the World Health Organization / US Mission Geneva

世界保健機構(WHO)と、国連の複数の団体が、トランスジェンダーやインターセックスの人々への断種手術の強制を非難する報告書を発表しました。

詳細は以下。

World Health Organization condemns forced sterilization of trans and intersex people | Gay Star News

この報告書は「強制・強要された、または不本意な断種手術の廃絶を求める共同声明」(‘Eliminating forced, coercive and otherwise involuntary sterilization - An interagency statement')といい、2014年5月30日に発表されました。WHOの他、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国連人口基金(UNFPA)、国連開発計画(UNDP)、国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)が参加しています。

この声明は、断種手術を「生殖能力をコントロールする重要なオプションのひとつ」と認めつつも、政府がそれを強制するのは「拷問その他の残酷、非人間的、または名誉を傷つける治療もしくは刑罰を受けない権利を侵害する行為」であるとして厳しく非難しています。

「トランスジェンダーやインターセックスの人たちのように、断種手術にまつわる差別と虐待の長い歴史があるグループがいる。その歴史は今日も続いている」と報告書には書かれている。

「たとえば、このような人権侵害はさまざまな法的、医療的な必要条件に反映されており、断種手術もその中に含まれる。トランスジェンダーやインターセックスの人々は、希望するジェンダーに適合する出生証明書やその他の法的書類を手に入れるために、これらの必要条件にさらされている。

とりわけインターセックスの人々は、審美的手術などの医学的には不必要な手術を幼児期に受けさせられ、生殖能力を奪われてきた。当人や親または保護者へのインフォームド・コンセント無しにである。このような行為もまた、国際的な人権団体や、国内の裁判所により、人権侵害であるとして認識されてきた」

‘Some groups, such as transgender and intersex persons, also have a long history of discrimination and abuse related to sterilization, which continues to this day,’ the report notes.

‘Such violations are reflected, for example, in the various legal and medical requirements, including for sterilization, to which transgender and intersex persons have been subjected in order to obtain birth certificates and other legal documents that match their preferred gender.

'Intersex persons, in particular, have been subjected to cosmetic and other non- medically necessary surgery in infancy, leading to sterility, without informed consent of either the person in question or their parents or guardians. Such practices have also been recognized as human rights violations by international human rights bodies and national courts.’

ちなみに日本の法律は、この点に関して思いっきり人権侵害してます。以下、裁判所|性別の取扱いの変更より引用。強調は引用者によります。

家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。

  1. 二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
  2. 20歳以上であること
  3. 現に婚姻をしていないこと
  4. 現に未成年の子がいないこと
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  6. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

日本のトランスジェンダーの人々は生殖能力を手放し、かつ外性器の形を変えなければ法的な「性別」を変更することができません。これが当たり前だと思うのは、ジェンダーは性器によって決定される/されねばならないという前世紀の呪術的思考ですよ。アルゼンチンでは既に、身体をまったく変えなくても、そして医師や裁判所の同意がなくても法律上のジェンダーを変更できるという法律が採用されています。米国でも、連邦政府の発行する公的書類(社会保障関係やパスポート等)を変更するのに、性別適合手術を受けたという証明は要りません。出生証明書も、ニューヨークをはじめ複数の州が、そうした証明は不要としています。こちらの方が人道的であり、WHO等の声明は、もっと広く世に知られる必要があると思います。