石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

「ぼくらの意見は関係ないんですか」豪レズビアンカップルの息子(11歳)、アンチゲイな首相に手紙で抗議

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レズビアンの母を持つ11歳のオーストラリア人少年が、トニー・アボット(Tony Abbott)首相に同性婚反対の理由を問う手紙を出し、話題となっています。子どもなりに根拠を挙げて書かれた手紙には、しかし、紋切り型の定型文の返事しか返ってこなかったそうです。

詳細は以下。

Boy With 2 Moms Pens Letter To "Pathetic" Anti-Gay Marriage Australian Prime Minister, PM Responds - The Gaily Grind

上記リンク先にはこの少年オーランド・バーチャム(Orlando Burcham)くんによる手書きの手紙の写真が掲載されています。彼はまず「親愛なるトニー・アボット様」と書き出し、なぜ首相は同性婚に反対するのかと質問。マジョリティは幸せに結婚しているのにどうして同性愛者だとダメなのか、自分のお母さんたちもアボット首相の妹も同性愛者で、オーストラリアには他にも何千人も同性愛者がいるのに、なぜなのかと。

手紙はこう続きます。

首相がオーストラリアや他の国の人たちをこの国で結婚させようとしないのはとてもひどいです。世界中の何百万人もの人がオーストラリアに来て、「わあ、ここはすごい、ここで結婚しよう!」と思って、それから結婚できないことを思い出すんです。そしてこの人たちはどこか結婚できるところに行くために何千ドルも使います。ぼくのママは結婚していますが、ニューヨークに行かなければならず、お金がたくさんかかりました。

首相は首相個人の意見を代表するためではなく、国全体の意見を代表するために選ばれたのです。あなたが悪いことだと思っているというだけの理由で、そのことを法律違反にする権利はありません。ぼくたちの意見はあなたには関係ないんですか? 単にあなたが首相だからというだけで? ちなみに、首相だからといって全部の権力を持ってるわけではありません。

あなたが考えを変えてくれるといいのですが。

It is so pathetic that you aren’t letting the gay people of Australia and other countries get married here. Millions of people in the world and when they come to Australia and think ‘wow this place is great1 Let’s get married here!’ And then they remember that they can’t. So they spend thousands of dollars to go somewhere they can get married. My mum is married but she had to go to New York, which took a lot of money.
You were elected to represent our country, not yourself. Just because you think it’s wrong, does not give you the right to make it illegal. Doesn’t our opinions matter to you? Just because you’re the Prime Minister, which by the way does not give you all the power.

I hope you change your mind.

これに対し首相から届いた返事は、超紋切り型。一部訳してみます。

個人的には既存の結婚の定義を貫くべきだと考えています。

この件についてわたしたちの意見は一致しませんが、あなたが提示した見解には敬意を表します。

My personal opinion is to support the existing definition of marriage.

Though we disagree on this issue, I respect the views you have put forward.

元記事で全文を見比べてみればよくわかりますが、少年の手紙には彼が同性婚を法制化すべきだと思う理由が複数挙げられているのに対し、首相の手紙には根拠らしい根拠は何ひとつ書かれていません。先日中学生にやり込められた(参照:「どうして同性婚に反対なんですか?」豪首相、15歳に質問されたじたじ - 石壁に百合の花咲く)時と同じぐらい中身からっぽの返事で、ただ今回は手紙だから口ごもっていないというだけ。まったくひどい(pathetic)ものです。

なお、手紙の中でオーランド君が言っている首相の妹、クリスティーン・フォスター(Christine Forster)さんは、アボット首相のことをホモフォビックではないとして擁護してはいます。でも、これって要するにディック・チェイニーが米副大統領だった頃のメアリー・チェイニーと同じでしょ。お金と権力がある人はパートナーと結婚できなくたってそうそう困りゃしないから、そりゃ身内をかばって権力維持に励むわな。

Queertyによれば、オーランドくんは首相からの返事に「がっかりした」と言っているとのこと。でも、この2通の手紙の比較写真を載せたオーストラリアの団体「Australian Marriage Equality」のFacebookページ(既に『いいね!』が900以上ついてます)では、彼のお母さんがこんなコメントを書いています。

息子を誇りに思います。こんなに美しい正義の心を持っているんですから。この子、ある晩ニュースを聞いた後、座って何か書いてたんですよ。何を書いているのかわかる手がかりと言えば、「ママ、『美しい』(beautiful)の綴りってどうだっけ?」と、「『ひどい』(pathetic)の綴りは?」ぐらいなものでした。

so proud of my boy, such a beautiful heart for justice. he sat and wrote this one night after hearing a news report. the only hint was "mum, how do you spell beautiful?" then "how do you spell pathetic?"

56歳の一国の首相より、"beautiful"の綴りをママに聞く11歳少年の方が知性においてはるかに上だというのはおもしろいですね。やっぱり未来は若者のものだわ。