石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『咲-Saki-(11)』(小林立、 スクウェア・エニックス)感想(追記あり)

咲 Saki (11) (ヤングガンガンコミックス)

咲 Saki (11) (ヤングガンガンコミックス)

阿知賀編と本編がリンク。見どころは豊音のかわいさ

麻雀百合漫画、第11巻。全国大会第2戦の終盤から準決勝直前まで。咲の過去を暗示したり、阿知賀編と本編をつなげたりと、いわば話の流れを整理する巻。ちょいエロカットはあれど百合は薄口で、見どころは姉帯豊音のかわいさ。

第2戦大将戦について

10巻と同じく、強さのインフレ対策と思われる咲の淡々とした戦いぶりが面白かったです。咲本人は苦戦だと思っていたようですし、能力発現時にガラスは割れるわ白目になるわで「ちょー怖い」(p.52)雰囲気をかもし出してもいるんですが、それでもまだ全然アクセル全開じゃないところがポイント。そこに咲特有のプラマイゼロの打ち方や、「靴下を脱ぐと強くなる」設定をからめるのも、説得力があってとてもよかった。

話の外堀が埋まり、阿知賀編とリンク

清澄は順当に勝ち進むし、準決勝はまだ始まらないしで、ドラマとしての山場は少なめです。その分、咲の過去を示す伏線が張られたり、サイドストーリー(『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』)と本編をつなぐ説明が入ったりと、今後の展開のための土台づくりにページが割かれている感じ。

留意点としては、阿知賀編を読んでいないと途中で何が何やらわからなくなること。一度に提供される情報が多すぎて、阿知賀のどのキャラ/要素に注目して読めばいいのやらまったくわかりません。説明につぐ説明の間、ストーリーがどこに向かって進んでいるのかもさっぱりわかりません。阿知賀編読者へのファンサービスとしてあれもこれも出してしまった可能性はありますが、単品の漫画作品として見た場合、この構成は失敗だったのでは。

見どころは姉帯豊音

ミステリアスな長身キャラ・豊音の言動のかわいらしさがこれまでにも増して光ってました。何なのあの天使。何やら複雑な事情がありそうな台詞と、全開の笑顔や泣き顔との対比が印象的で、何度となく見とれてしまいました。

11巻はあざといエロカット(乳袋とか尻とかスクール水着の股間とか)こそあれ、百合はかなり薄めなんですよね。咲の気持ちを慮る和の表情や、善野元監督が会場に来ると知った恭子の高揚など、それっぽい場面があるにはあるのですが、カップルとしての描写はなし。その物足りなさを、豊音がひとりで埋めてくれたと言っても過言ではありません。今後もまた出てきてくれないかなー。

まとめ

インターハイの試合そのものは満点をつけたいおもしろさで、今後の戦いも楽しみです。キャラの魅力では豊音が群を抜いてました。一方、阿知賀編と本編をリンクさせる部分は説明過多で、お話のログライン(一行で言うとどんな話なのか)がぼやけてしまっていると思います。もうちょっと整理して、状況説明よりストーリーを前進させることの方にウエイトを置いてほしかったです。

追記(2014年7月16日)

カバー下のおまけ漫画がとてつもなく百合だった……! カップリングは福与恒子と小鍛治健夜、つまりこーこちゃんとすこやんで、タコス伝説は今回はお休みです。ビバ大人百合。