石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

映画『ビッチ・スラップ 危険な天使たち』感想

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愛すべきおバカ映画(女同士の愛&キャットファイトてんこもり)

『チャーリーズ・エンジェル』と『キル・ビル』と『メメント』を足して3で割り、おっぱいをトッピングしたかのよなB級お色気アクションコメディ。レズビアン要素やキャットファイトの描写に愛とリスペクトが感じられるし、終盤のどんでん返しもナイス。

お色気演出について

この映画の主人公は、頭脳派の「ヘル」、タフなレズビアンの「カメロ」、トロくて弱々しいストリッパー「トリクシー」の美女3人。本作の最大の特徴は、主人公たちを追うカメラワークが、いっそ気持ちがいいほど割り切った「お色気、お色気、お色気で愚息も昇天!」路線であること。舞台のほとんどが荒涼たる砂漠だというのに、カメラは終始必要以上に乳を追い、尻を追い、アメリカンポルノによくあるエロエロ洗車シーンのパロディーまでやってのけます。しつこいけど場所、砂漠ですよ。水、ないっちゅーねん。あっても貴重だっちゅーねん。

で、賭けてもいいけどこの映画のこうしたお色気演出は直球のエロ狙いというわけではなくて、(1)女体礼賛、(2)1種のキャムプなギャグとして描かれていると思うんですよ。それはもうはっきりと。画面の向こうから常に「女体いいよね! 美しいよね! でもこういうわざとらしい撮り方ってアホだよね!」というサワヤカな笑いが聞こえてくるかのようで、おかげで最後まで胸焼けすることなく楽しく鑑賞することができました。

レズビアン要素について

エロス満載のコメディー映画であるだけに、最初はちょっと不安だったんですよ。レズビアンキャラのカメロが、ただのイロモノ担当にされるんじゃないかって。しかしその不安は、いい方向に裏切られました。レズビアン要素はイロモノどころか、お話を大きく前に進める原動力として大活躍してます。女性同士のセックスシーンもまともだったし、体の関係だけでなく、心情的なあれこれもたっぷり描かれています。

キャットファイトについて

オープニングに流れる古今東西のTV&映画のキャットファイト映像アソートを見るだけで、どれだけキャットファイトが好きな人が作った映画なのかがひしひしと伝わってきます。映画本編の熱さは推して知るべし。個人的には終盤での『はじめの一歩』ばりに激しい素手同士のどつき合い(もちろん女同士よ!)がベストバウトですが、他のファイトでの武器へのこだわりにも拍手を贈りたいです。スケバン刑事風のヨーヨー(操るのは日本の女子高生風キャラ)(日本語がユマ・サーマン並みに怪しいのはご愛敬)だの、埋忠明寿の刀だのが出てくるあたり、絶対オタクだろこの監督……!

調べたら監督のリック・ジェイコブソン氏、『Xena: Warrior Princess』を撮った人なんですね。『ニキータ』のTV版も撮ってる。つまりこの映画は、「戦うおねーちゃん好きな人が撮った、戦うおねーちゃん映画」なわけで、そりゃ面白くて当然だと思いました。「戦うおねーちゃん好きな観客」であるあたしには大変ツボでした。

肝心のストーリーは

これがねー、悔しくなるほどちゃんとしてるのよ。こんなおバカ映画なのに! どっから見てもB級低予算作品なのに! 『メメント』や『パルプ・フィクション』風に時系列が行ったり来たりする構成も、理解の妨げになるどころか、かえって謎とサスペンスを盛り立てています。伏線回収も鮮やかなものでしたし、他の有名レズビアン映画への秘めやかなオマージュであるかのように見えた部分が最後の最後で生きてくるという仕掛けには、特に感心させられました。作品全体のテーマがズガンと伝わるラストシーンには、もう力でねじ伏せられた感じ。いやー、おもしろかったー。

まとめ

趣味を疑われてもいい。あたしはこの映画、大好きです。少なくとも女性同士の愛やキャットファイトがお好きな方、バカ映画がツボな方にとっては必見の怪作かと。上では書ききれなかったけど、笑いの方向性も『チャーリーズ・エンジェル』や『D.E.B.S』をもっとアホにした感じでいいんですよ。おすすめ。

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