石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

「ぼくは生まれつきゲイ」アンチゲイ団体の看板に写真を使われた男性、カウンター看板でやり返す

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米バージニア州でアンチゲイ団体PFOXが掲げた「生まれつきのゲイはいない」とする巨大看板のモデルが実はゲイだったことがわかりました。この男性は非営利団体の協力を得て「ぼくは生まれつきゲイ」とする巨大看板を作って対抗し、話題を呼んでいます。

詳細は以下。

This Anti-Gay Group Probably Wishes It Had Used A Different Model For Its Billboard

PFOXというのは、科学的根拠のない「ゲイ治療」なるものを推進する団体。同団体は2014年12月、バージニア州リッチモンドのハイウェイ沿いにこんな巨大看板を立てました。

看板にはひとりはスーツ、もうひとりはTシャツを着た同じ顔の男性の写真が使われ、「一卵性双生児:ひとりはゲイ。もうひとりはゲイじゃない。双子の研究により、生まれつきのゲイはいないとわかっています」と書かれています。

これを知って仰天したのが、写真のモデルであるKyle Rouxさん。彼はゲイで、しかも一卵性双生児ではないんです。おまけに自分や仲間の経験から、ゲイであることは生まれつきだと考えているのだそうで、何から何までPFOXの主張とはまるで逆。

Rouxさんによれば、PFOXはおそらくストックフォトのWebサイトからこの写真を購入しており、したがって彼らのしたことに違法性はないのだそうです。また、同団体の看板は今ではもう撤去されているとのこと。しかし、だからと言ってこのまま見過ごせるものでもありません。そこで2015年2月18日、カンザス州トピカの非営利団体プランティング・ピース(Planting Peace)の力を借りて、Rouxさんはこんな看板を同じハイウェイ沿いに立てました。

看板の文面は、「親愛なるPFOX様: 一卵性双生児? 違います。ぼくはゲイ。あなたがたが何を信じていようと、ぼくは生まれつきゲイ。そして、あるがままの自分を誇りに思っています」。わはははは痛快。

なお、アンチゲイな人々が異性愛主義をアピールしようとしてうっかり同性愛者の写真を使ってしまったのは、これが初めてではありません。2013年にはFox Newsが、異性婚の大切さを訴える記事で、男女カップルの写真のつもりでレズビアンカップルの結婚写真を使ってしまって大恥をかきました。このような勘違いが起こる背景には、カナダの生物学者Bruce Bagemihlが指摘するところの、動物の同性愛が長い間科学的な議論の場で揉み消されてきた理由と共通するものがあるような気がします。以下、彼の著書『Biological Exuberance: Animal Homosexuality and Natural Diversity』(Stonewall Inn Editions)p. 93より引用。

動物の行動学的研究の多くが、異性愛を前提とした上で実施されている。つまり、フィールド生物学者というのは一般的に、求愛行動や交尾はすべて、異性愛ではないと証明されるまでは異性愛であると見込んでいるのである。

Many behavioral studies of animals oparate under a presumption of heterosexuality: a widespread-assumption among field biologists is that all courtship and mating activity is heterosexual unless proven otherwise.

PFOXやFox Newsも、「非ヘテロだと証明されていなければ皆ヘテロ」という思い込みがあったため、はなから異性愛者の写真だと思い込んで疑わなかったのでしょうね。ちょっとぐらい調べればよかったのに。

ところで今回Rouxさんに協力したプランティング・ピースというのは、ゲイ嫌いのウエストボロ・バプティスト教会の向かいにレインボーカラーの家を作ってしまったあの団体です。相変わらず粋なことをするもんですね。Towleroadによればこの看板はひとまず1ヶ月間立てておく予定なのだそうで、設置期間をさらに延ばすためのクラウドファンディングも始まっています。目標1万ドルのところ、2月20日現在早くも1000ドルを突破している模様。協力してみようとお思いの方は、以下をどうぞ。