石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「こんなものを子どもが毎日目にしたら……」? ブラジルの百合ハグ写真、意外な理由でネットを席巻

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とあるブラジル人がFacebookに載せた、地下鉄ホームでハグする女性同士の写真がネットを席巻しています。写真に添えられた、「こんなものを子どもが毎日目にしたら……」などと憂える長文キャプションのオチがあまりにも秀逸すぎるんです。

詳細は以下。

This Photo Of Two Women Embracing Shows Something Truly Dangerous

写真はこちら。

この写真をFacebookに投下したのは、リオデジャネイロのNelson Felippeさん。Felippeさんが写真に添えた文章は、まず「私に偏見はないが」と始まり、「こんな光景を強制的に見せつけられるのは馬鹿げている」、「人が私的な領域で何をしようと自由だが、公共の場で何をするかということについて私は懸念しているのだ」などと続きます。そしてその後、同性愛者ならうんざりするほど聞いたことがあるこの言い回しが登場。

こんなものを毎日目にしたら、子どもの心はどうなってしまうのか?

Como vai ficar a cabeça de uma criança que vê essa cena todo dia?

白状すると、このあたりまで、「陳腐すぎるホモフォビアなのに、なぜわざわざニュースにするんだろう」と、すっかり騙されてました、あたし。本当にすごいのは、この直後に続くオチなんです。

子どもたちは、黄色い線の上で地下鉄を待つのがノーマルなことだと思ってしまうだろう。だから、向こう側にいる男性のようであってはならない。女の子たちの例にならうべきだ。黄色い線の内側に下がって地下鉄を待ち、線を越えるのは、車両が完全に止まってドアが開いたときだけにするべきなのである。

As crianças vão achar que é normal esperar o metrô em cima da faixa amarela. Então, não faça como aquele cara ali. Siga o exemplo das meninas. Espere o metrô ANTES da faixa amarela, e só cruze a faixa depois que o metrô estiver parado e com as portas abertas

やられたー!!!!! 大好きです、こういうの。

このポストが投下されたのは2015年4月7日。4月20日現在、1万9千以上の「いいね!」がついています。「やられたー!」と思った人が、それだけ多かったということなのでしょうね。

ブラジルには同性同士で利用できるシビルユニオン制度があり、国家司法審議会(CNJ:Conselho Nacional de Justica)は、2013年に同性婚を認める判断を下しています。一方、同国はホモフォビアが根強く残る国としても有名で、ゲイ団体GGBによれば、1989年から2009年の間に3100人以上の同性愛者がヘイトクライムで殺されているそうです。2013年には、公共の場でキスしたレズビアンカップルが暴力をふるわれ、あげく拘留されるという事件もありました。こうした国にあって、ひねりのきいた笑いでホモフォビアをこきおろしてくれたFelippeさんに、惜しみない拍手を送りたいと思います。ひとつひとつは小さなことでも、こういう力がちょっとずつ物事を動かしていくんじゃないかと思うんですよね。