石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「わたしの人生を変えてくれてありがとう」アイルランド16歳少女、国民投票の結果に感謝

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アイルランドのニュースサイトTheJournal.ieが、同国での同性婚合法化を喜ぶ16歳の両性愛者少女から受け取った感動的な手紙を紹介しています。

詳細は以下。

手紙部分を訳すよ。

「わたしは16歳のティーンエイジャーです。だから、この国民投票で投票する権利はありませんでした。でもわたしは最近、自分がバイセクシュアルだと気づいていたんです。誰にも言いませんでした、だって、法律が自分を平等に扱わないのに、どうして人がわたしを平等に扱うだなんて思える? 自分が愛する人と結婚することは決してないのかもしれないと、認めたくありませんでした。でも今日、目が覚めてニュースを聞いて、泣き出してしまいました。きのう眠ったときよりも平等なアイルランドになったのだと知って、今朝、もう数人の友だちにカミングアウトしました。賛成票を投じてくださったすべての方へ。わたしの人生を永遠に変えてくれてありがとう。単にチェックボックスに「X」と書いた(訳注:国民投票の投票用紙が、「賛成」「反対」いずれかのチェックボックスを選んで「X」と書く形式だったことを指しています)だけにしては、悪くなかったでしょう?」

“I am a 16 year old teenager, so I had no say in this referendum. But recently I have discovered that I am bisexual. I didn’t tell anyone, for how could I expect them to treat me equally if the law didn’t? I didn’t want to acknowledge that I might never get married to someone I love. Today, however, when I woke up and heard the news, I started crying. I have already come out to a few of my close friends this morning, knowing that today I am living in a more equal Ireland than the one I went to sleep in yesterday. To everyone out there who vote yes: thank you for giving me a future where I can be happy. Thank you for changing my life forever. Not bad for just putting an X in a box, right?

この「平等」の意味がわからない方は以下のアニメーションをごらんください。

同性同士で結婚する権利を認めるかどうかというのは、結局は「自分が住む社会を平等なものにするか、しないか」の問題*1なんですよ。日本でたいへん好まれがちな「『子供がつくれない関係だから』結婚を認めるな」なんていう意見の根底には「理由があれば誰かを不平等に扱ってもよい」という前提があるわけで、それってものすごく危険なことだと思います。「言い訳と膏薬はどこにでもくっつく」と昔から言う通り、「理由」なんて後付けでいくらでもくっつけられるものなんですからね。

アイルランドが今回同性婚を(正確には、ジェンダーの組み合わせを問わず結婚できるようにすることを)認めたことに対し、「カトリック国なのに意外」と驚く日本人の声をたくさん耳にしました。そんなことであなたたちが驚いていることの方が意外だ、とあたしは思いました。#hometovoteキャンペーンで世界中から帰郷して投票したアイリッシュたちがどれだけ「平等のために投票する」と言ってたか、英語圏のニュースぐらい見たらどうよ。それにだいたい、同じカトリック国のフランスだってスペインだってアルゼンチンだって(以下略)、とっくに同性婚を実現させています。「平等に扱ってもらえるのは〇〇という条件を満たした人間だけ」というきわめて日本的にねじれた、そして矛盾した「平等」感覚の方が、向こうの国々から見れば奇異だと思うよあたしは。

*1:もちろん、誰でも結婚できさえすれば即平等な社会であるというわけではありません。「結婚した人間だけが特権を享受できる」という不平等は依然として残り、その解消に向けて取り組んでいく必要があります。でも現状維持のまま同性婚を阻止し、異性カップルだけ優遇していたって、苦しむ人が減りはしないのは確か。ゲイポルノのスター俳優、移民法のため夫と暮らせず自殺 - みやきち日記で書いたような悲劇を、あたしは二度と見たくないと思っています。