石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

シスノーマティヴな美だけが美じゃない! トランスジェンダーによる自作ヴァニティ・フェア表紙いろいろ

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ケイトリン・ジェナーが「ヴァニティ・フェア」の表紙を飾ったことに触発され、数多くのトランスジェンダーの人々が自分の写真で作った「ヴァニティ・フェア」表紙をソーシャルメディアで発表しています。タグは#MyVanityFairCover。

詳細は以下。

Trans Women Are Creating Their Own Vanity Fair Covers With #MyVanityFairCover

この動きの大きなきっかけになったのは、トランスジェンダーで女優のラヴァーン・コックスによる、Tumblrでの発言。自らも『TIME』の表紙で話題になったことのあるラヴァーンは、ケイトリンと自分の経験から、トランスジェンダーの人々がシスノーマティヴな(シスジェンダーだけが正常で自然なジェンダーのありようだとする)美しさの基準を満たすことばかりが注目されがちな風潮への疑念を提示したんですね。シスノーマティヴな美の獲得には遺伝や経済力や人種の問題が大きく絡んでくるし、そもそも誰もがそうした美しさを求めているわけではないのだから、メディアにはトランスの多様な美の描写がもっとたくさん必要だとラヴァーンは訴えています。

これに共感したトランスジェンダー女性、クリスタル・フレイジャー(Crystal Frasier)さんが、自分の写真で作った「ヴァニティ・フェア」表紙をTumblrで発表。

http://rambleonamazon.tumblr.com/post/120593928179/call-me-crystal-a-lot-of-people-have-explained

写真に添えられている文章がすごくいいんですよ。一部訳すと、こんなです。

トランスジェンダー女性についての世の意見や、まともに受け取めてもらいたければどんな外見で「なければならない」かという声に、ずっと苛々したり、無力だと思ったり、打ちのめされたりしてきました。

I’ve felt frustrated and useless and overwhelmed by opinions on transgender women and how we’re “supposed” to look if we want to be taken seriously.

トランス女性が狭い定義の美しさに当てはまったときだけ感嘆や賞賛の対象とするのは、まちがっています。ちょうど、わたしの親友が月曜にこんな風に言った通りです。「わたしのヴァニティ・フェアの表紙はどこなの?」。

Admiration and praise for trans women shouldn’t only come if we fit a narrow definition of beauty. As a good friend of mine said Monday “Where’s my Vanity Fair cover?”

この「親友」というのは、フレイジャーさんのルームメイトで同じくトランスジェンダーのジェン・ドラリ(Jenn Dolari)さんのこと。ハッシュタグ「#MyVanityFairCover」を作ったのは、このふたり。フレイジャーさんがテンプレートを提供して、「トランスたちの顔を世界に示そう」と呼びかけると、本当にたくさんの人たちが自分自身の「ヴァニティ・フェア」表紙をソーシャルメディアに投下し始めました。


BuzzFeedでは、フレイジャーさんのこんな意見も紹介されています。

「みんな、ケイトリンの幸せを喜んでいると思います」と、フレイジャーは締めくくった。「これは決して、ケイトリンの人生や選択に対する批評などではないんです。これは、あらゆる人に、特に自分の価値は白人でシスノーマティヴに見えるかどうかで決まるというメッセージを受け取っているかもしれないトランスの子どもたちに、トランスジェンダーの人々はとても多様で、みんな愛され、親切にされ、理解される資格があるのだと思い出させるための大事な瞬間なんです」

“I think everybody is happy that Caitlyn is happy,” Frasier concluded. “This is in no way any kind of critique on her life or choices, but this is a great moment to remind everyone — especially trans kids who might be taking in a message that their worth is based around their ability to look white and cisnormative — that trans people come in a huge variety and we all deserve love, attention, and understanding.”

これ、先日J.K.ローリングがヘイトスピーチについて言ったことに通じるものがありますね。ウエストボロ・バプティスト教会の同性愛嫌悪にいちいち反対すると相手に注目が集まって逆効果だと言われ、ローリングは、こう答えたんです。

訳:「ウエストボロ・バプティスト教会はどうでもいいんです。クロゼットで怯えている同性愛者の子どもたちが、ヘイトスピーチが異議申し立てされるのを見るということが大事だと思っています」。

トランスと同性愛者とではまたいろいろ立場が違うけれど、「異議申し立て」が特に子どもたちにとって大切だという点は変わらないと思うんですね。そして、漠然と「多様性は大事です」とお題目をとなえることはかんたんでも、画一的な価値観に対して実際に異議申し立てをしていくことはとても大変。ハッシュタグ「#MyVanityFairCover」でそれをやってのけている皆さん、全員超カッコイイしビューティフルだよ!!