石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

興行収入トップ100のハリウッド映画(2014)、台詞のあるLGBTキャラは果たして何人?

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南カリフォルニア大学の研究者たちが、興行収入トップ100位以内のハリウッド映画にはLGBTキャラが「ほとんど存在しない」とする研究結果を発表しました。

詳細は以下。

LGBT people ‘virtually non-existent’ in top Hollywood films · PinkNews

この論文のタイトルは"Inequality in 700 Popular Films: Examining Portrayals of Gender, Race, & LGBT Status from 2007 to 2014 "(『人気映画700本における不平等:2007~2014年のジェンダー、人種、LGBTの描写を調査する』)。以下のリンク先で全文読むことができます。

この研究では、2007年から2014年(※2011年度を除く)に公開された映画のうち、その年度の興行収入が100位以内だったものについて、登場人物のジェンダーや人種、セクシュアリティーなどが調査されました。

2014年公開の100本についてのみ、LGBTという基準からの分析もおこなわれています。それによると、2014年のトップ100作品では、台詞のある(または名前がつけられている)キャラクタ計4610人のうち、LGBキャラはわずか19人、つまり0.4%しかいなかったとのこと。うちわけはゲイ10人、レズビアン4人、バイセクシュアル5人。トランスのキャラに至っては0人です。

これを単純に「LGBTの人々は絶対数が少ないんだから、フィクションのキャラも少なくて当然」ととらえることはできません。UCLAウィリアムズ・インスティテュートの推定によれば、米国のLGB人口は全体の3.5%、トランスジェンダーは0.3%。また、公共宗教研究所(Public Religion Research Institute)の研究では、18歳から35歳のいわゆるミレニアル世代のうち7%がL・G・B・Tいずれかの自認を持つとされています。つまり、LGBキャラが0.4%いるだけというのは、人口比から見ても異様に少ないんです。

さらに言うと、その貴重な19人の描写もなかなか差別的です。LGBの「健康的な恋愛/性愛関係」はほとんど出て来ず、19人のうち長期にわたる安定した交際関係にあるのは2人だけ。デートの場面があるのも2人だけ。子供のいるLGBキャラは皆無。ゲイ男性・バイセクシュアル男性で、信頼し合った献身的な関係を持っているキャラも皆無。ひどくないですか、これ。

そんなわけで、ハリウッド映画も、少なくとも興行収入トップ100位に入るような作品は、まださほど多様でもポリティカリー・コレクトでもないみたい。いちレズビアンとしての漠然とした主観では、「いわゆる"Dead/Evil Lesbian Cliché"(『死せる/邪悪なレズビアンのクリシェ』、レズビアンキャラを殺すか邪悪な加害者役にするかの2通りでしか描けない陳腐なストーリーラインのこと)は減ってきてるし、昔よりはマシなのでは」と思ってたんですが、マジョリティーにまで受けるヒット作ともなると、まだまだ偏見まみれなのかもしれません。道は遠いなあ。映画界の成熟を待つより、もっと自由度の高いNetflixやAmazonインスタントビデオなどのオリジナルコンテンツに期待をかけた方が早いのかも?