石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

所変われば反応変わる。男2人が手をつないで歩く実験 in モスクワ、エルサレム、リスボン(動画)

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全米同性婚解禁直後、モスクワで男2人で手をつないで歩いてみるという勇気ある社会実験の動画が発表され話題を呼びました。その後、エルサレムやリスボンでも同様の実験をした人がいて、比較するとなかなか興味深いです。住むなら絶対リスボンだな!

詳細は以下。

動画はこちら。

モスクワ(ロシア)


  • 内容要約
    • 身体的暴力
      • すれ違いざまわざと肩をぶつけ、「なんか文句あるかよ?」とすごむ
      • 真正面から突き飛ばし、さらにつきまとって脅す
    • 暴言
      • 「ゲイだ。オカマだ」
      • 「あのゲイたちが通るのを見ろよ」
      • 「見ろ、ゲイが2人来るぞ」
      • 「アバズレどもが手をつないでいやがる」
      • 「ようゲイども、おまえら最近増えすぎだ」
      • 「ロシアはいったいどうなっているんだ……」
      • 「ロシアから出て行け」
    • その他
      • 振り返って凝視
      • 2人を見てニヤニヤ笑う
      • 未翻訳のロシア語罵倒語たくさん

ロシアでは2013年の同性愛プロパガンダ禁止法成立以来ホモフォビアが悪化していると言われています。AP通信NORCセンター(Associated Press-NORC Center for Public Affairs Research)の調査によれば、ロシアで「ゲイの隣人は嫌だ」と思う人の率は2012年には38%だったのに、2014年には51%。また、2014年に「社会は同性愛者を受け入れるべきでない」と答えた人は63%で、逆に「受け入れるべき」と答えた人はわずか20%しかいませんでした。そりゃあ道行く人々もホモフォビックでしょうよ。

エルサレム(イスラエル)


  • 内容要約
    • 身体的暴力
      • なし
    • 暴言
      • 「ゲイのクソ野郎! オカマ! ゲイはみんなクソ野郎だ!」
      • 「あのオカマたちが手をつないでるのを見たか?」
      • 「くそったれども!」
      • 「(手をつなぐ2人に)かわいこちゃん? かわいこちゃん?」
      • 「(連れに)あれを見ろよ、見ないと損だぞ」
      • 「ありゃいったいどうなってるんだ?」
      • 「ファッキンなオカマどもめが」
      • 「(連れに)あれを見たか? ファッキンなゴミのゲイ野郎だ」
    • その他
      • 振り返り凝視する人多数。口をあんぐり開けてガン見する人も。

エルサレムでは先日ゲイパレードに刃物男が乱入し、6人が殺傷されたばかり。この動画では身体的暴力こそ出てきませんが、ヘイトクライムが起こるべくして起こるだけの土壌はあったのでは。

リスボン(ポルトガル)


  • 内容要約
    • 身体的暴力
      • なし
    • 暴言
      • なし
    • その他
      • サムズアップ(親指を立てる賛成・OKのしぐさ)
      • 笑顔
      • 振り返って見る人は複数いるが、実験した男性によれば、ホモフォビアというより驚きや好奇心によるものではないかとのこと。または、「2人の身長差がとても大きい(ひとりが193cm、もうひとりが172cm)からかもしれない」とも。

以下、この実験を実行したロレンツォさん(身長193cmの方)のことば。

正直言って、ぼくらは実際には公共の場で手をつないで歩く習慣がない。理由は聞かないで。もしかしたら、ちょっと怖いからかも? でも正直言うと、このビデオを撮った後、自分たちは尊重されていて自由なのだと思った。ぼくらはこの街を誇りに思っている。

‘To be honest, we actually don’t walk together holding hands together in public. Don’t ask us why, because maybe we’re a little bit frightened? But to be honest, after filming this video, we felt respected and free. We’re so proud of our city.’

まとめ

というわけで、上記3都市のうち、住むなら絶対リスボンだと思いました。それから、「ホモフォビアはやはり学習の結果にすぎない」とも。アンチゲイな皆さんがよく主張するように、ゲイを嫌悪するのが本能行動だとしたら、リスボンのホモ・サピエンスとモスクワのホモ・サピエンスの行動がこうまで違う理由の説明がつきません。昔から「朱に交われば赤くなる」という通り、周囲がホモフォビックだと自分も染まりやすくなるってだけのことなんじゃないの?