石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

無骨な酪農家の父がゲイの息子に教えたこと

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米国のインタビュー記録プロジェクト「ストーリー・コー(StoryCorps)」が、ゲイ男性の父との思い出を描く短編アニメーションを発表しました。無骨な酪農家のお父さんがまだ高校生だった息子に伝えたアドバイスが感動的です。

詳細は以下。

This ‘redneck’ father gave some amazing advice to his gay son · PinkNews

このアニメーションは、1950年代にワシントン州の田舎町で語り手のパトリック・ハガトリー(Patrick Haggert)さんが体験した実話をもとにしています。当時高校生だったパトリックさんは、父親には自分の性的指向を隠していました。ある日、学校のイベントで化粧をしてパフォーマンスすることになったパトリックさんは、そこに思いがけず現れたお父さんを見て反射的に隠れてしまいます。化粧姿を見られるのが嫌だったわけではなく、酪農家のお父さんが牛糞のついたジーンズとごつい長靴といういつもの格好のままだったのが恥ずかしかったからです。

でもお父さんには、実はすべてお見通しだったんでした。帰りの車の中で、なぜ汚れたジーンズで学校に来たのかととがめるように問うパトリックさんに、彼はまずこんな風に説明します。

俺が牛飼いだってことはみんな知ってる。これが俺なんだ。

Everybody knows I'm a dairy farmer. This is who I am.

さらに、お父さんは息子がゲイだと気づいていたことを伝え、こう付け加えます。

今から言うことは、今のおまえにはわからんかもしれん。だが、大人になったとき思い出すだろう。「コソコソするな。今日のおまえみたいにコソコソするということは、自分が間違ったことをしていると思ってるってことだ。一生自分が間違ったことをしてると思いながら過ごしていたら、不滅の魂が台無しになってしまうぞ」。

I’m going to tell you something today, and you might not know what to think of it now, but you’re going to remember it when you’re an adult. “Don’t sneak, because if you sneak, like you did today, it means you think you’re doing the wrong thing. “If you’re spending your whole life thinking that you’re doing the wrong thing, then you’ll ruin your immortal soul.

動画はこちら。

これはストーリー・コーが、10月11日のカミングアウトデー(National Coming Out Day)に合わせ、LGBTユースの自殺防止プロジェクト「イット・ゲッツ・ベター・キャンペーン」(It Gets Better campaign)とのコラボレーションで製作したもの。ストーリー・コーは、「身近な人が持っている、世界が記憶すべき物語」を記録し、シェアするために2003年に始まったプロジェクトです。こういう動画を観ていると、ストーリー・コーの「どんな人の物語も大切("everyone’s story matters")」という主張は正しいとつくづく思います。少なくともこのアニメーションに出てくるお父さん、チャールズ・ハガトリーさんのことを、あたしは今後何度もあたたかい気持ちで思い出すことでしょう。世の中にはたまにこんな人がいて、あたかも灯台のように静かに周囲を照らしていて、そのおかげで助けられた人がたくさんいるのだと思います。