ウイルス対策ソフト開発大手のカスペルスキーが、英国のLGBTニュースサイトPinkNewへの18歳未満のアクセスをブロックしてしまいました。「性倒錯サイト」はアダルト向けであるというのが同社の主張です。
詳細は以下。
Kaspersky won’t budge after blocking PinkNews for under-18s · PinkNews
PinkNewsによれば、このカスペルスキーによるアクセスブロックを発見したのは南アフリカの読者とのこと。コンテンツコントロールが有効になっているPCでは、18歳未満のユーザはPinkNewsにアクセスできなかったとのことで、どうやらこの機能はカスペルスキーの日本語サイトで説明されている「保護者による管理」であるようです。これを使うと、保護者が手動でホワイトリストに登録しない限り、カスペルスキーがアダルトとみなすサイトは見られなくなるんです。
しかしね、PinkNewsって裸の写真一枚あるわけじゃなし、内容的にもLGBT関係の政治や宗教、事件等の比較的堅いニュースばかりで、エロコンテンツは皆無なんですよ。実際、このニュースを読んであたしが最初に思ったのは、「PinkNewsがアダルトコンテンツなら、QueertyやThe Gaily Grindはどうなんのよ!?」でした。参考までに以下にリンクを張っておくので、トップページの肌色度を比較してみてくださいな。同じ「LGBTニュースサイト」というジャンルでも、編集方針によってメイルヌード(と言ってもどれもセミヌード程度ですが)の使用度がずいぶん違うことがわかると思います。
- PinkNews · PinkNews Gay news, reviews and comment from Europe's largest lesbian, gay, bisexual and trans news service
- Queerty - the leading Gay and Lesbian News and Entertainment Site
- The Gaily Grind
ついでに言うと、上で挙げたQueertyやGaily Grindだって、ハンキーなセミヌード写真こそ踊っていても、内容は全然ポルノじゃないんです。だいたい、これぐらいの露出率、別にゲイ向けじゃない(そしてアダルトサイトでもない)Men's HealthみたいなWebサイトと変わらなくない? 唯一の違いは、Men's Healthの方は半裸のお兄さんのみならず、ビキニや下着姿のお姉ちゃんの画像もあるってことぐらいで。
なおカスペルスキーの定義では、「性倒錯に関するWebサイト」と「人間のセクシュアリティーについて議論するサイト」はアダルトコンテンツだとのこと。さらに同社は以下のように主張しているとのことです。
当社のデータベースはグローバルなもので、国による違いはありません。
Our database is global so there is no variation in country.”
いや、それ、グローバルじゃなくて、ロシア基準(カスペルスキーの本拠地は、『同性愛宣伝禁止法』を持つロシアです)のデータベースなのでは。あるいはテネシー州基準。いずれにせよ、性的マイノリティーについての情報を非アダルトなものまで十把一絡げに子供たちからブロックしてしまうというのは、当のマイノリティーの子供たちにとっても、何が差別なのかもわからないまま育つマジョリティーの子供たちにとっても迷惑でしかありません。幸か不幸か自分はこの会社の製品は一度も使ったことがないのですが、これからもたぶん使わないだろうと思います。