石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

米ユタ州でトランスジェンダー女性が自死 Facebookに遺書

f:id:miyakichi:20151018220605j:plain

米国ユタ州で2015年10月14日、トランスジェンダー女性のアシュリー・ハルストロム(Ashley Hallstrom)さん(26)が自死しました。事前にFacebookに書かれた遺書には「どうか社会を直して」とありました。

詳細は以下。

Trans woman in Utah posts suicide note on Facebook before stepping into traffic - Gay Star News

ハルストロムさんは14日の午前中、ローガン・キャニオン近くの高速道路で亡くなりました。目撃者の証言などから、警察は彼女の死を意図的なものであると判断。そして彼女は実際、亡くなる前にFacebookに遺書を残していたんでした。

ハルストロムさんはこの遺書で、トランスジェンダーとして社会から向けられてきた憎悪と、それによってもたらされたうつ状態(またはうつ病)について述べ、「これ以上生きていけない」、「わたしの話をシェアしてほしい」と書いています。だから訳すよ、特に大事な部分を。英文が読める方はぜひ原文をどうぞ。

とても小さなころから、おまえのような人間は化け物で、不快な存在だと言われてきました。おまえたちは頭の中が病気で、社会から嫌われているのだと。それで自分を嫌悪するようになりました。みんなと同じになろうと懸命に努力しましたが、これは自分で変えられるようなことではありませんでした。

From a very young age I was told that people like me are freaks and abominations, that we are sick in the head and society hates us. This made me hate who I was. I tried so hard to be just like everyone else but this isn't something you can change.

最終的には本当の自分として生きることができ、自分自身が好きになれるだろうと思っていました。ついにカムアウトし、性別移行に取りかかって、生まれて初めて本当に幸せだと言うことができました。しかし、人生が大きく変わったにもかかわらず、トランスであることによって引き起こされたうつ状態は、決して完全には乗り越えられませんでした。どちらを向こうと、社会がわたしたちに対して抱いている憎しみが目に入るのです。

I had hope that I would finally be able to live as and love who I am. I finally came out as transgender and began transitioning. For the first time in my life I could say I was genuinely happy. Despite this huge change in my life I never completely got over the depression being trans caused me. Everywhere I'd turn I'd see the hated that society had for us.

わたしの遺言が、いつかわたしのような思いをする人がひとりもいなくて済むようになるために社会が必要としている変化を起こす手助けになると信じています。どうかこの変化を手伝ってください、トランスジェンダーの人々はどこにでもいるのですから。人は手遅れになって初めて、他の人を傷つけていることに気づくものなのかもしれません。どうか社会を直してください。

I believe my last words can help make the change that society needs to make so that one day there will be no others like me. Please help make this change because trans people are everywhere. You may never know who you're hurting until it's too late. Please help fix society.

この最後の「社会を直して」("fix society")というフレーズは、オハイオ州で2014年12月に自ら死を選んだトランスジェンダーの少女、リーラ・アルコーン(Leelah Alcorn)さんが遺書で残したものと同じです。意図的にそうしたのだと、自分は思います。社会を、つまりシステムを変えない限りこのような悲劇は繰り返されるというメッセージなのでしょう。

Peopleによると、ハルストロムさんは熱心なRedditユーザで、亡くなる3ヶ月前にLittleColetteというハンドルで希死念慮のある他ユーザを助けようとする書き込みをしていたとのこと。読んでみると、「わたしたちと話して」、「みんなあなたを助けたいと思っています」、「自分は性別違和のためにあやうく死ぬところでしたが、今なおここにいて、生きていてよかったと思っています」などとあります。この他ユーザもまた、性別違和を持つ人です。おそらく、ハルストロムさんは最後までぎりぎりのところで揺れながら、それでも仲間を助けようとしていたのでは。

仲間といえば、ハルストロムさんの遺書には、文面を読んで慌てた友達からのリプライが複数つけられています。ひとつ訳出してみると、こんな。

アシュリー、あなたがずっとつらい思いをしてきたことは知ってる。でもあなたには友達がいて(とは言え、わたしはまめに連絡できないダメダメ友達かもしれないけどさ)、あなたのことを大事に思っていて、一緒に生き抜こうと思ってるんだよ。

Ashley, I know you've been through so much. But you have friends (I'm a crappy friend who isnt good at keeping in touch might i add) that care about you, and stand with you through this.

でもこれ、間に合わなかったんです。

Peopleによれば、これが書き込まれた時間には、ハルストロムさんはもう亡くなっていたんだそうです。

だめだこれ以上何も書けない。ただただ、悲しいです。