石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ダブリンのレストラン店主、手をつないでいたゲイカップルを追い出す

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アイルランド・ダブリンのレストランで手をつないで記念日を祝っていたゲイカップルが、「他の客が不快(uncomfortable)だから」という理由で追い出されてしまいました。

詳細は以下。

Gay Couple “Humiliated” After Being Asked To Leave Diner For Holding Hands / Queerty

追い出された男性のひとりがアイルランドの雑誌『GCN(Gay Community News)』に送った手紙によれば、この日ふたりは交際2周年の記念日を祝っていたのだそうです。しかし、手をつないで見つめ合っていただけなのに、ウエイターがテーブルまでやってきて、他の客から苦情が出ているから愛情表現をやめてほしいと言われてしまったとのこと。その後店長と話をするも、出て行くように言われただけだったのだそうです。

「お互いに愛情を示し合う十分な権利があると言うと、店長は他の客が不快なのは残念だと言って、ぼくらに出て行ってはどうかと言いました。食事の代金は取らないと言いました」

“When we said we had every right to show each other affection, the manager said that it was unfortunate that other customers were uncomfortable, and suggested that we leave. He told us we wouldn’t be charged for our meal.”

これだけでも屈辱的なのに、彼らが店を出るとき、他の客から「気持ち悪い("disgusting")」ということばまで投げつけられたそうです。おそらくこの客が苦情の主なのだろう、と手紙の書き手は言っています。

これはつまり、こないだのハワイの1件と同じ、PDA("public display of affection"、公共の場所での愛情表現)の問題ですね。これに関して最近、ちょっとおもしろい資料を見つけました。1990年にエイズ・アクティヴィズム団体アクトアップが「ニューヨーク・ゲイ・プライド・デイ・パレード」で配布した、「クィア・ネイション・マニフェスト」なる文章なのですが、「クィアなクラブやバーの外にこれを掲示しよう」として、こんなリストが掲載されているんです。

異性愛者のための行為規則

  1. 愛情表現(キス、手つなぎ、抱擁)は最小限に。ここでは多くの人があなたのセクシュアリティーを望まず、不快に思っています。
  2. スローダンスを踊るなら、できる限り目立たないようにすること。
  3. レズビアンやゲイ男性を、特にブルダイク(訳注:ごつくて男っぽい短髪レズビアンのこと)やドラァグクイーンをボケーッと眺めたり、凝視したりしないこと。わたしたちはあなたのための見世物ではありません。
  4. 同性から口説かれたとき楽々と対処できないのなら、出て行くべし。
  5. 異性愛を見せびらかさないこと。目立たないようにすること。レズやホモに間違えられるリスクを冒すべし。
  6. これらの規則が不公平だと思うなら、異性愛者のクラブのホモフォビアと戦うべし。そうでないのなら、
  7. 消え失せやがれクソ野郎。

Rules of Conduct for Straight People

  1. Keep your displays of affection (kissing, handholding, embracing) to a minimum. Your sexuality is unwanted and offensive to many here.
  2. If you must slow dance, be an inconspicuous as possible.
  3. Do not gawk or stare at lesbians or gay men, especially bull dykes or drag queens. We are not your entertainment.
  4. If you cannot comfortably deal with someone of the same sex making a pass at you, get out.
  5. Do not flaunt your heterosexuality. Be discreet. Risk being mistaken for a lezzie or a homo.
  6. If you feel these rules are unfair, go fight homophobia in straight clubs, or
  7. Go f--- Yourself.

これが1990年ですよ。それから四半世紀たっても、相変わらず同性愛者の側だけが「愛情表現は最小限に」「できる限り目立たないように」等々の不公平なルールを押し付けられたままだというわけ。異性カップルはそこらじゅうで自由に手をつないだりキスしたりしながらセルフィー撮ってるっていうのにね。救いは一緒になってホモフォビアと戦ってくれる異性愛者が飛躍的に増えたことだけど、それでもこの二重基準が完全になくなるまでにはあと何年かかることか。やれやれ。