石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

香川のNPOが「どんな性別でも使えるトイレのマーク」投票受付中 2015年12月20日〆切

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香川県の非営利団体プラウドが、公募で寄せられた「どんな性別でも使えるトイレのマーク」のうち一次審査を通過した12点への一般投票を募っています。フォームにチェックを入れて送信するだけで誰でも投票でき、応募締め切りは2015年12月20日。

投票は以下から。

12/20まで「どんな性別でも使えるトイレのマーク」二次審査の投票受付中! | PROUD

自分もさっそく投票させていただいたのですが、候補作のうちいくつかのデザインと作者コメントを見ていてもやもやしてしまったことがひとつ。「どんな性別でも使える」マークのはずなのに、「男・女・LGBT(Q)の人」という謎の線引きをしちゃってる例がけっこう入ってない……?

自分はレズビアンで、つまり「LGBT」の「L」ですが、一瞬たりとも「女」をやめたつもりなどありません。しかし、上記リンク先の作品とその説明を見ていると、「人間には『男』と『女』と、それ以外のレインボーカラー人間(≒LGBTQ)がいるのだ」と主張するかのようなものがいくつか見受けられ(そうじゃないものもいっぱいあるんですが)、複雑な気分になりました。「どんな性別でも使える」はずのトイレで、「アンタ『女』じゃないから。レインボーな『LGBT(Q)の人』だから。でもまあ入れてあげる♥」と言われたってうれしくありませんよ。むしろ、そのトイレ使うのは避けるわよ。

そう言えば、渋谷区役所仮庁舎の「誰でもトイレ」のピクトグラムが、最近似たような批判を受けていたと思います。そのピクトグラムのデザインはこちら。

このピクトグラム、上段の左から2番目にいる、「人々の中にあって、ひとりだけレインボーカラーの男女キメラ」という人物はいったい誰を指しているのかという問題があるわけです。たいへん的確な突っ込みがこちら。

渋谷区のこのピクトグラムもまた、たとえ悪気はなかったにせよ結果的に「男・女・レインボーの(かつ、あしゅら男爵的な)人」という謎のカテゴリー分けを支持しちゃっているわけです。ひょっとしたらトランスジェンダーについて何か誤解があるのかもしれませんが、トランスジェンダー女性はあくまで女性であり、トランスジェンダー男性はあくまで男性だというのに、この表現ではかえって誤解を招きかねないのでは。それに、(1)性的マイノリティーでかつ障害者/高齢者/子持ち/妊婦だという人もたくさんいるし、(2)虹の多様性はすべての人を包むはずなのに、この限定的なレインボーの使い方はおかしくない?

もちろんこうした「男+女+LGBTQの/レインボーの/あしゅら男爵な人」系デザインが出てくる背景には、従来のトイレでの「男」「女」のシンボルマークがあまりにステレオタイプ化されている(男は角張った体型でズボン着用、女はスカート着用/男は青、女はピンク、など)という問題があるのだとは思います。その延長で「ジェンダー・ニュートラル」を表現しようと思うと、どうしてもこうなりやすいということも想像できます。

でもね、先行事例が既にたくさんあるのに、わざわざ車輪の再発明をする必要はないと思うんですよ。たとえばちょっとここ見てくださいよ。

これはニューヨークのドアプレート通販サイトの、「すべてのジェンダー用トイレのプレート("All-Gender Restroom Signs")」コーナー。みごとなまでに「男」も「女」も「レインボーの謎人物」もいません(※スマホ用表示の場合、上の二段が"All-Gender"なトイレ用プレートです。画像を横にフリップするとすべてのデザインが見られます)。それでいて、トイレだということはちゃんとわかります。こういう表現だってできるんです。

その他のいろいろな取り組み例もどうぞ。

  • GenderNeutral.co.nz
    • こちらはニュージーランドのプレート屋さん。トイレや車椅子など、ジェンダーとは無関係で中立的なピクトグラムばかり。色使いも青や赤ではなく、ジェンダー・ニュートラルを意識したものになっています。朝顔型の便器に「立ってオシッコしたい人用トイレ」と説明を添えたプレートがユニーク。
  • 17 Of The Most Fabulous Gender Neutral Bathroom Signs
    • 従来のジェンダー観をひきずったデザインもあるけど、そうじゃないものもいろいろ。個人的にはユニコーンと一輪車を使った6番と、シンプルで機能的な10番が好き。
  • In All-Gender Restrooms, the Signs Reflect the Times - The New York Times
    • 「文字だけ」という思い切った表示もあれば、トイレや蛇口でまとめたデザインもあり。

さて、話が長くなりました。最後にもう一度、プラウドの「どんな性別でも使えるトイレのマーク」投票ページへのリンクを貼っておきます。ここまでつらつらと書いてきましたが、どのピクトグラムから何を連想するかは人によって大きく違うでしょうし、誰がどんなデザインを支持するのも当然自由だと思います。どちらさまもぜひご参加を。