石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

英国のトランスジェンダー女性が男子刑務所で死亡 自死の疑い

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英国の21歳のトランスジェンダー女性が男子刑務所で遺体となって発見されました。彼女は女子刑務所への収容を望んでおり、友人たちに「男子刑務所に送られたら自死する」と話していました。

詳細は以下。

Transgender woman found dead in all-male prison | Society | The Guardian

亡くなったヴィッキー・トンプソン(Vicky Thompson)さんの出生時に割り当てられた性別は男性で、性自認は女性です。性別適合手術は受けていませんでした。彼女は2015年8月に懲役1年、執行猶予2年の判決を受け、その後執行猶予の条項に違反したため再勾留となっていました。本人は女子刑務所への収容を望みましたが、判事はこれを受け入れず、11月12日、トンプソンさんはリーズにある男性用刑務所に収容されると発表されました。

11月13日の夜、トンプソンさんはこの男子刑務所で反応のない状態で発見され、20時48分に死亡が確認されました。前日に面会していたボーイフレンドのロバート・スティール(Robert Steele)さんによれば、トンプソンさんは「女性の服を着ていることであれこれ言われるから、ここは嫌だ」と話していたとのこと。

なお、ウエストヨークシャー警察は、この死を不審死としては扱わないと発表したそうです。

英国では2015年10月、同じようにトランス女性でありながら男子刑務所に収容されたタラ・ハドソン(Tara Hudson)さんを女子刑務所に送るための署名運動が展開されたばかり。この運動は10万人以上の賛同者を集め、ハドソンさんは女性刑務所へと送られました。それから1ヶ月もたたないうちに、またこんな事件が起こるとは。

BBCによれば、英国司法省は、「英国の法で認められた」ジェンダー(通常、出生証明書に記載されているジェンダー)で受刑者の収容先を決めるとしているとのこと。受刑中に「性自認証明書」(gender recognition certificate)の発行を受けた場合は「獲得されたジェンダー」の出生証明書を新しく入手することができ、ほとんどの場合そのジェンダーの刑務所に移送されるとされています。法的にジェンダー変更していなくても移送できる場合もあり、問題が発生した場合には、個々の状況を見直すための「検討会」を開いて勧告をおこなうのだそうです。

今回亡くなったトンプソンさんも、署名運動でようやく女子刑務所に入れたハドソンさんも、法律上のジェンダーは男性でした。上で言うような「性自認証明書」(gender recognition certificate)の発行とか、「検討会」とか、全然現実に対応できてなくない? トランスジェンダー女性が男子刑務所に収容された場合、性暴力に合う可能性が13倍高まるというデータもあるのに、司法制度があまりにも非力すぎない?

ものすごく皮肉なことに、トンプソンさんが亡くなられたのは、トランスジェンダー啓蒙週間(Transgender Awareness Week、11月14日から20日まで)のまさに直前でした。そして今日、11月20日はトランスジェンダー追悼の日(Transgender Day of Remembrance)。やりきれない思いでいっぱいです。