読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

保護者「うちの子にはゲイの教師の授業は受けさせません」→教師が完璧なレスポンス

f:id:miyakichi:20151121161409j:plain

英国で演劇を教えている同性愛者の男性が、彼の性的指向を理由に「うちの子にはクラスをやめさせる。カネ返せ(要約)」とするテキストメッセージを保護者から受け取りました。この男性が保護者に送った返信が、たいへん的を射ています。

詳細は以下。

Mother won't allow gay man to teach her child drama - his response is a must-see - Gay Star News

この男性は同国キダーミンスター(Kidderminster)のマイケル・ネリ(Michael Neri)さん(26)。彼が演劇スクールで指導している子供の母親から、ある日こんなテキストメッセージが届いたのだそうです。

最近あなたのライフスタイル(訳注:英語圏で同性愛を『ライフスタイル』と呼ぶのは、『同性愛とは神に背いて自分で勝手に選んだ生活様式であり、変えることができる』という偏見を持っている人に特有の行動です)について知りました。クリスチャンとして、うちの子たちが奇抜な考えの影響を受けることは許せません。男性は女性と結婚するべきだというのがわたしたちの信念です。予約金の返金を楽しみに待っています。小切手で送ってくだされば結構です。

I have recently learned of your lifestyle and as a Christian I cannnot allow my children to be influenced by unconventional ideas. It is our belief that a man should marry a woman. I look forward to receiving my deposit which you may post to me via cheque.

ネリ先生のお返事を一部訳すとこんな。

わたしの知る限り、わたしのセクシュアリティーは、教師としての能力に影響を及ぼしていません。それはちょうど、お宅のお子さんのひとりが万一具合が悪くなったとき治療にあたる医師の能力に、その医師のセクシュアリティーが関係ないのと同じです。救急治療が必要なときには、お子さんの健康が何よりも優先されるはずだと信じておりますが、あなたはお子さんの命を救う手術の前にまず医者たちのライフスタイルをチェックしなければならないとお考えなのでしょうか?

As far as I'm aware, my sexuality doesn't effect my ability to teach, just like it wouldn't effect a doctors ability to treat one of your children should they become unwell. I'm sure your children's health would come first should they need emergency treatment, or would you need to check their doctors lifestyle prior to their life saving operation?

そして、返金についてはこう。

遺憾ながら予約金は払い戻し不可となっております。しかし心配ご無用、お宅様からの予約金はもうLGBTチャリティー団体のストーンウォールに寄付しましたから。

Unfortunately deposits are non refundable but don't worry, your deposit has been donated to StoneWall, an LGBT charity.

やりとりの全文は以下でどうぞ。

上で引用した救急治療の話、ただのたとえ話だと思う人もいるかもしれませんが、ゲイやレズビアンの医療関係者なんて別に珍しくもなんともないんですよ実際。しかし、我が子が交通事故に遭っていざ手術室に運ばれようとしているときに「オペ担当者はゲイですか? 異性愛者ですか? ゲイなら他の医師が来るまで待ちます!」なんて叫ぶ親御さんの話というのは聞いたことがありません。もっと言うと、子供が好きなお総菜をデパ地下で買うときいちいち調理担当者の性的指向を聞く人もいないし、子供部屋の壁紙を貼ったクロス屋さんがゲイかどうかなんて誰も気にしません。こういうときには都合良く性的指向は不問とする(あるいは、子供にとって益となる人間はなぜか全員異性愛者であると解釈する)くせに、別のときには「奇抜な考えの影響」とやらを理由にカネ返せと言い出すのは、筋が通らないというものです。

今回ネリ先生が採用した「払い戻し不可の予約金をチャリティーに寄付する」というやり方は先日の米国のカメラマンと同じで、とてもいいと思いました。ストーンウォールは子供のいじめ防止にも力を入れている団体ですから、これで何人かの子供が助かるはず。この姿勢、見習いたいと思います。