石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

レズビアンの英コメディ女優、カミングアウトで死の脅迫を受けた経験を語る

Secret Comedy Podcast - 4 August 2013 - 17 - Sandi Toksvig
Secret Comedy Podcast - 4 August 2013 - 17 - Sandi Toksvig / Amnesty International UK

英国の女優で作家のサンディー・トクスヴィグ(Sandi Toksvig)が、BBCラジオ4で、90年代に同性愛者としてカミングアウトした際「殺す」などの脅迫を多数受け、子供とともにしばし身を隠すことを余儀なくされた経験について語りました。

詳細は以下。

Sandi Toksvig: Death threats forced me into hiding : News 2015 : Chortle : The UK Comedy Guide

IMDbによれば、サンディー・トクスヴィグは1958年生まれのデンマーク系英国人。ケンブリッジ大学在学中からコメディー女優の道に進み、1982年に英番組「No. 73」でTVデビュー。脚本家や作家としても活躍しており、小説『ヒットラーのカナリヤ』は邦訳も出版されています。

その彼女が2015年11月29日、BBCラジオ4で、1994年のカミングアウト後に起こったことについて語りました。彼女は当時、タブロイドによるアウティング(性的指向の暴露)を避けるため、サンデー・タイムズのインタビューで自らレズビアンであることを明かしたのですが、その後どうなったかというと……。

「タブロイド新聞が騒いで、ちょっとしたメディアの狂乱を煽り立てたんです」と彼女は司会者のカースティー・ヤングに話した。「メディアの嵐はふつう、あっという間に過ぎるものですが、自分がその真ん中にいると怖いものですよ」

「当時、殺してやるという脅迫をたくさん受けました。それで身を隠さざるを得なくなりました――だいたい2週間隠れていたのですが、その間はもちろん、子供たちを怖い目に遭わせてしまったことに恐れおののいていました。3人の子供たちは、わたしにとっては命より大切です。本当に、心から怖かったです」

The tabloid press went a bit crazy and whipped up a little bit of a media storm,’ she told presenter Kirsty Young. ‘They usually pass very quickly, but when you’re in the middle of them, they’re frightening,.

‘We got quite a lot of death threats at the time. And we had to go into hiding - we were in hiding for about two weeks and of course during that time, I was terrified that I had done a terrible thing to my children, I would give my life for my three children. It was truly, genuinely frightening.’

同性愛に反対する人たちの間では、今も昔も「同性愛者は子供を持たないから、同性愛は認めない」説が大人気のようですが、実際には同性愛者は子供がいたってこういう目に遭うわけです。まず憎悪や敵意ありきで、子供云々は単なる言い訳でしかないことが、よくわかります。

幸いにもそこで殺されなかったサンディー・トクスヴィグはその後も順調にキャリアを重ね、最近ではスティーヴン・フライの後を引き継いでBBCのテレビクイズ番組『QI』の司会を来シーズンから担当すると発表されています。私生活では、パートナーのデビー(Debbie)さんと2007年にシビルパートナーシップ登録し、2014年に結婚。

ちなみに本人によれば、ご両親には80年代にもうカミングアウトしていたのだそうです。

「わたしには問題はありませんでした。問題があったのは、社会の方みたいですね。友達は全員問題ありませんでしたし、家族も問題ありませんでした」

’I didn’t have a problem. Society seemed to have a problem. None of my friends didn’t have a problem, my family didn’t have a problem.’

これもまた、現代にも通じることでは。同性愛者のカミングアウトについて「どうしてわざわざそんなことを公表するんだ(≒黙ってろ)」てなことを言う人がよくいますが、こちらにしてみれば、「どうしてわざわざこんなことで動揺するんだ」てなもんですよ。こっちには問題はないの。問題があるのは、これしきのことでいちいち狂乱したり、黙らせようとしたり、あげく殺すとまで言い出す社会の方なの。

さて、以下余談。上の方でちょっと触れた小説『ヒットラーのカナリヤ』、Amazonでの内容紹介やカスタマーズレビューを読んだらとても面白そうだったので、今日衝動的に発注してしまいました。読んだらここに感想を書くかもです。2017年には自伝の発売も予定されているらしく、そちらもちょっと気になっているところ。ティナ・フェイやジェーン・リンチの例を見ればわかる通り、コメディエンヌの自伝(ティナ・フェイのは厳密にはエッセイですが)って、面白いのが多いですからね。