石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

アルゼンチンのトランス少女、プロムの1日を映像で公開

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アルゼンチンのトランスジェンダー少女、Juana Sosa(フアナ・ソーサ)さんが、学校のプロムで初めて公の場に女性の姿で登場。当日のメイクアップからプロムまでの様子をすべて記録し、InstagramとYouTubeで公開しました。

詳細は以下。

This Trans Teen Captured Her First Time Appearing As A Woman—At Prom | NewNowNext

まず、プロムデビューするソーサさんの姿はこちら。

B*tch face 🌚💅🏻💁🏻 #promnight #prom #makeup #girls #model #youtube #hair #style #fashion #dinner #beautiful

Juana Sosaさん(@juanaxsosa)が投稿した写真 -

まるで成田美名子『アレクサンドライト』のアレックスのような美しさだと思ったら、ソーサさんは本当にモデルなのだそうです。この服装は、アンドレヤ・ペジックにインスパイアされたものだとのこと。

メイクアップからプロムの夜までの一部始終をおさめた動画はこちらです。

以下、彼女がYouTubeにつけた説明文。

わたしの女性としての初めての外見と経験を、みんなにシェアしてほしいと思いました。これで他の人たちが、恐れることなく本当の自分を見せよう、これが自分なんだからと思ってくれたら嬉しいです。

I wanted to share with all of you my first appearance and experience as a woman. I hope to inspire other people to show who they really are without fear, because that's who you are.

これを踏まえてみると、動画のダンスの場面に、Calvin Harrisの"Outside"が使われているのは決して偶然ではないと思います。サビの"I'll show you what it feels like / Now I'm on the outside"(『どんな気持ちか教えてあげる/わたしは今外側にいるの』)という部分は、まさにこの動画全体のメッセージと共通するものでしょう。

queer voicesによればソーサさんが「自分は周りの男の子たちと違う」と気づいたのは15歳の頃。もともと自分が男だと感じたことはなく、女だと思っていたのに、女友達とは体の変化が違うとわかって泣いたとのこと。「15歳のパーティー」("Fiesta de quince años"、別名"Quinceañera"。女の子の15歳の誕生日をフォーマルなダンスパーティーで盛大に祝う南米の習慣)で、ドレスを着たりメイクアップしたりできないことがつらかったそうです。

南米では男の子には「18歳のパーティー」があるのですが、ソーサさんは女の子なので、今さらそれを祝うわけにはいきません。以下、queer voicesから引用。

「それで言ったんです、『プロムがわたしの行く十代最後のイベントになる。ちゃんとやろう』って」

So I said, “Prom Night is the last event I am ever going to have in my teenage years, let’s do it right”.

「『トランスジェンダーの人がプロムの準備をするところを撮った動画(訳注:女の子がプロムの日の自分のヘアメイクの過程を撮影した動画というジャンルがYouTubeにはあり、Get ready with me promで検索するといっぱい出てきます)は一度も観たことがない。それをやろう』と思いました。こうして、わたしの動画が誕生しました」

I thought “I have never seen a ‘Get Ready With Me Video (prom night)’ of a trans person, let’s do it,” and that is how my video was born.

プロムってLGBTキッズにとってはつらいだけのイベントかと思っていたのですが、こういうやり方もあるのかと目からウロコでした。本当に「ちゃんとやった」ソーサさんと、それを支援したお友達やご両親(お母さんは衣装選びを手伝い、お父さんはヘアメイクさんへの送迎を引き受けたとのこと)に拍手です。