石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

カートゥーン ネットワーク 、女性同士のキスシーンをUK版でカット

Steven Universe: Art & Origins

アニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」が、米国のアニメ『スティーブン・ユニバース』を英国で放映するにあたり、女性同士のキスシーンをカットしてしまいました。

詳細は以下。

何がどうカットされたかについては、まず以下の比較動画をごらんください。

前後の文脈も含めて音声つきで見るなら、こちらを。

http://officialkurapika.tumblr.com/post/136006093473/as-you-may-know-there-have-been-posts-going

どちらの動画でも、左側のオリジナル版では、女性同士のダンスシーンの最中、ふたりがキスをするところが描かれています。ところが右側の英国版では、キスの部分が別のキャラクタのアップに置き換えられてしまっています。

これは同作品の‘We Need to Talk’というエピソードの一場面で、同じ回には異性同士のダンスやキスもたくさんあるのだそうです。そして、そちらはノーカット。ファンたちはカートゥーン ネットワークUKに対しホモフォビックな編集をやめるようにと求めるオンライン署名を始めています。

一方、当のカートゥーン ネットワークは、この編集についてPinkNewsに以下のように説明しているとのこと。

米国の放送システムでは、番組にはレイティングが必要で、この場合はPG(保護者の同伴が必要)です。英国では、放映する作品はすべて、どの時間帯でも、何歳の子どもに対してもふさわしいものにせねばなりません。

当社では、わずかに編集したバージョンの方が、地元の子どもや親たちにとってより快適であると考えております。

“The US broadcast system requires that shows are marked with a rating –in this case PG (parental guidance necessary). In the UK we have to ensure everything on air is suitable for kids of any age at any time.

“We do feel that the slightly edited version is more comfortable for local kids and their parents.

調査によって、英国の子どもたちはしばしば年下のきょうだいと一緒に親の監督なしでTVを見ているということがわかっています。

Research shows that UK kids often watch with younger siblings without parental supervision.

しかし、全英映像等級審査機構(BBFC)の基準では、キスや抱擁などの描写は、あからさまに性的な要素が強調されていなければ「全年齢向け」(Universal)とされるのだそうです。そこにわざわざ「同性同士のキスだけは、親の監督なしで小さな子に見せてはならない」という独自の判断基準を付け加えることがホモフォビックだと批判されているのに、どうもそこが伝わっていない(あるいは、意図的に無視している?)ようですねこれは。

『スティーブン・ユニバース』は、元プロデューサーのイアン・ジョーンズ=クオータリー(an Jones-Quarterly)氏がメインの女性キャラ同士は恋愛関係にあると認めている作品。先述のオンライン署名では、同作品のクィアなキャラたちは「弱い立場に置かれた子どもたちにとって切実に必要なロールモデル」であり、「この作品で人生が変わったと言っている子どもたちがたくさんいる」と説明されています。そういう作品をわざわざ改竄しないでほしいわ、まったく。

ちなみにカートゥーン ネットワーク・フランスはかつて同作品のレズビアンカップルの愛の歌を友情の歌として吹き替えたことで抗議を受け、謝罪して、翻訳し直したバージョンを発表していました。UKはどうするんでしょうかね。まさか、このままうやむや?