石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

履歴書でLGBTだとわかる女性は書類選考で落とされやすい(米研究)

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就職活動にあたって、LGBTだとわかる要素(LGBT団体での勤務経験など)が履歴書に記載されている女性は、そうでない女性に比べ書類選考で落とされる確率が約30%高いとする研究結果が発表されました。

詳細は以下。

Hiring managers are less likely to call an LGBT woman back | Fusion

これはニューヨーク大学博士課程のエマ・ミシェル(Emma Mishel)氏による研究で、論文タイトルはDiscrimination against Queer Women in the U.S. Workforce: A Résumé Audit Studyといい、Socius(2016 vol. 2)に発表されました。LGBT女性の雇用に関してこのような研究がなされたのは、これが初だとのこと。以下で論文のフルテキストを読むことができます。

この研究では、比較的リベラルな2州(ニューヨークとワシントンDC)と保守的な2州(テネシーとバージニア)の計800件以上の求人に対して履歴書を送付し、書類選考を突破して面接に呼ばれるかどうかを調べるという手法がとられました。学歴や職歴などを同条件に揃えた履歴書を2通ずつ作り、片方には「LGBT団体でのリーダーシップ経験」を、もう片方には「(LGBT以外の)進歩的な学生グループでのリーダーシップ経験」を記載して、求人をしている会社に送ったところ、前者は後者に比べ面接に呼ばれる率が約30パーセント低いとわかったとのこと。

ミシェル氏がこの研究をおこなったのは、自分自身にLGBT団体での勤務経験が多く、履歴書を見ればひと目でクィアだとわかるから。

「差別の証拠が何もみつからないことを期待していたので、この結果はとても衝撃的でした。特に、30パーセントという数字はわたしにとってほんとうに衝撃的でした」と彼女は言った。「でも、過去の研究のことを考えれば、そこまで意外なことではないのかもしれません」

“I mean I was hoping to not find any evidence of discrimination so it is pretty shocking. Especially the thirty percent figure is pretty shocking to me,” she said. “But I think it’s not that surprising if I think about past research.”

ここで言う「過去の研究」というのは、2011年にAmerican Journal of Sociologyに発表された以下の論文のことです。

こちらによると、オープンリー・ゲイの男性は他の条件が同じ異性愛者男性に比べ、面接まで進める率が40パーセント低かったのだそうです。

今回ミシェル氏が採用した調査方法は「監査調査」と呼ばれ、「白人っぽい名前と、移民もしくは少数民族っぽい名前の履歴書では、どちらが面接に呼ばれやすいか」なんてことを調べるのによく使われます。名前に関しては、「エミリーやグレッグ(典型的な白人の名前)は、ラキーシャやジャマール(典型的な黒人の名前)よりも面接に呼ばれる率が50パーセント高かった」などの結果が得られており、人種/民族的マイノリティの名前を持つことは経済的に不利だと示されています。性的マイノリティに関しても、やはり同じようなことが言えるのかもしれませんね。

現在のところ米国にはLGBTの人びとを雇用差別や住居差別から守る連邦法はなく、2015年に議会に提出された平等法(Equality Act)に期待がかけられているところ。包括的差別禁止法に反対する人たちは決まって「もう既に平等なのに、これ以上保護しろというのは特権の要求だ」と言いたがるものなので、こうした研究によって「現時点で平等ではない」という客観的データを示すことはきわめて重要だと思います。他の州での調査結果も見てみたいです。